2019年3月27日水曜日

第2097話 連夜の花わさび (その3)

文京区・向丘は大観音通りの「コザブロ」にて
さくらんぼジュース入りのビール、
ベルビュークリークを味わっている。
もともとチェリー系の飲みものは好きで
1980年代後半、ニューヨークに着任した頃は
デンマーク産のさくらんぼリキュール、
チェリー・ヒーリングを愛飲した。

会食時、デザートを取らないJ.C.は
他のメンバーがバカデカいケーキやクレープを
平らげているあいだ、
チェリー・ヒーリングを唯一の食卓の友としたのである。
しかしながらその後、
イタリア料理屋をひんぱんに利用するようになって
くるみのリキュール、ノチェッロに転向したんだけどネ。

ベルビュークリークは魅力的な飲みものだ。
殊に女性にはオススメで
電車内で本を読む少女が賢く可愛らしく見えるように
バーでコレをたしなむ女性はオシャレにして知的に映る。
そんなハナシをしていたら
さっきまでジンジャーエールをなめていた、
下戸の相方が注文に及んだじゃないか―。

スパイス・バル「コザブロ」のウリは
カレーやアチャールのほかに鮮魚のスパイス焼き、
そしてティッカと呼ばれる串焼きがある。
インド料理屋の定番、あのチキン・ティッカの類いだ。

当店はティッカに鳥取の大山鶏(だいせんどり)を使用。
ただし部位は、モモ・砂肝・レバーのみ。
そこを補うように豪州産ラムと気仙沼産サメがある。
う~ん、サメのバーベキューねェ。

どんなサメかといえばアオザメ(青鮫)だ。
サメの仲間では最速で泳ぐ能力を持ち、人を襲うともいう。
日本のサメ類の総漁獲量に占める割合は5%前後で
高級はんぺんの材料となるほか、
ヒレは良質のフカヒレに加工されるという。

英名はマオリ語に由来するmako。
人食い鮫にしては可愛いお名前だこと。
すり身にされたり、乾貨になったり、
makoも難儀なこったが
眞子さまのご心痛もいかばかりか―。

日本酒に移行して
白露垂珠すいしゅ)円熟
藍サファイア 山形無濾過純米 
というのを所望した。
何とまぁ、大仰なネーミングだこと。
注文するほうが恥ずかしくなっちゃうヨ。

=つづく=