2019年3月22日金曜日

第2094話 ウラを返しに青砥を再訪 (その3)

目指す荒川区・町屋には停まらない、
京成本線の特急電車に誤乗(ごじょう)してしまい、
図らずも三たび到達した葛飾区・青砥。
慣れというのは怖いもので、この町に親近感すら抱いた。

ちなみに誤乗とは聞きなれない言葉だが
例えば新幹線でひかりとのぞみを間違え、
結果的に大きく乗り越した場合でも
車掌さんに申し出れば、誤乗証明書を発給してくれて
超過精算しなくてもよいそうだ。

せっかく青砥に来て、このまま手ブラで引き返すことはない。
これも何かの縁、お導きだろう。
そうしてまたもやすり抜けた「小江戸」の自動ドアだった。
過去2回とは異なる席ながら何とかカウンターに落ち着けた。

生ビールを運んでくれた女将から
「いつもありがとうございます!」の一言。
「いえ、いえ、どうも」と返したが
この人、お客をよく見てるんだなァ、ジッサイ。
心なしか気持ちが浮き立ち、
今宵はじっくり飲もうという、つもりになった。

本日のオススメに花わさびがあった。
”あれば、お願い”のマイ・フェイヴァリットだ。
花わさび醤油漬けと初トライの小肌酢を通した。
当店は立石の「江戸っ子」より、
酒・つまみともに守備範囲がずっと広い。

辛みが鼻にツンと抜ける花わさびは特筆。
たった270円なのに量もそこそこあり、
これだけで中ジョッキの2~3杯はイケそうだ。
毎度、用意されるモノじゃあるまいから運がよかった。

素材の良さを実感させる小肌酢(500円)もなかなか。
酢・塩・砂糖のうち、砂糖が一番主張している。
そこがちょいと気になるけれど、
江戸前鮨の老舗でもこういうシゴトをする店はある。
「小江戸」の小肌からすぐに連想したのは
神楽坂「新富寿司」のそれだった。

氷1粒でボールをお願いした。
同時に煮込みの小サイズ(250円)を。
これがまたけっこうなボリュームで
単身客には(小)で対応するのが暗黙の了解らしい。
もっとも独りでレギュラー・サイズはそれだけで満腹だろう。

ボールを2杯、3杯と重ねてゆき、
鳥はらみポン酢(370円)を追加した。
焼き鳥屋におけるマイ・ベスト3は背肝・はつもと・はらみ。
それほどに気に入りの部位なのだ。

だんだん記憶があいまいになってきた。
スタッフと短い会話を交わしたが
何を話したのかトンと覚えちゃいない。
これはヤバいと手仕舞いしたものの、支払額は忘却。
帰りの電車も特急か何かで青砥の次は京成日暮里。
眼下に町屋の町の灯が流れてましたとサ。

=おしまい=

「もつ焼き 小江戸」
 東京都葛飾区青戸3-39-3 優和ビル2F
 03-3690-0898