2021年9月7日火曜日

第2736話 独りで歩く並木道

めったに来ない田園調布。

せっかくだから駅西口の3丁目へ。

放射線状の閑静な住宅街のど真ん中、

いちょう並木を真っ直ぐに上って行った。

 

そう、此処は坂道なのだ。

日活映画「陽のあたる坂道」(1958)では

裕次郎と北原三枝が歩いている。

石坂洋次郎の原作は目黒区・緑ヶ丘を舞台とするが

やはり田園調布はスクリーンに映える。

6年後、同じ日活の「帰郷」では

高橋英樹と吉永小百合が歩いた。

 

メインストリートを上り切って

ちょいとばかり場違いな建物に突き当たった。

円柱状の造りは何かの研究所、今どきならさしづめ、

covid-19 を研究してそうな感じだが

実際はT杉サンの私宅だった。

庭にひともと百日紅(さるすべり)。

花弁の紅が萌えていた。

 

それにしても陽射しが強い。

普段なら多摩川台公園辺りまで歩く。

だけど今日は美容室、汗だくはマズいヨ。

 

駅の反対側に回った。

ミスター・ジャイアンツ御用達の焼き鳥屋が

暖簾を掲げていた。

焼き鳥丼か親子丼を出しているかと思いきや、

唐揚げのテイクアウト。

同じ大田区でも田園調布と穴守稲荷では

ずいぶん家賃の差があるだろうに

一律の給付金じゃシンドいわな。

 

東側の2丁目はグッと庶民的だ。

メインの商店街は下り坂になっている。

ひとしきりぶらついて目黒線の電車に乗り込んだ。

 

不動前の一つ手前、武蔵小山で下車する。

時間調整しつつ、かむろ坂を下っていった。

花見シーズンとなったら

都内屈指の美しさを誇る桜並木だ。

 

いつものように美容室隣りのスーパーで

ロング缶を調達した。

手にしたときにイヤ~な感じがしたが

やっぱり相当ぬるいんでやんの。

 

K子チャンが氷を用意してくれた。

すると驚くなかれ、ロックアイスと来たもんだ。

居酒屋やスナックですら

製氷機のキューブアイスを出してくるのに

ホントにアンタはエラいっ!

J.C.の見込んだ美容師だけのことはありました。