2021年9月20日月曜日

第2745話 フィレンツェに やはりナポリは ありません

久々に好天の午後、西日暮里のドコモショップへ。

用事を済ませ、食事処の物色に入った。

駅のホームの真下を貫く道灌山通りの1本北側で

見ようによってはレストランとも

カフェとも喫茶店とも見える店に遭遇。

おもてのボード“おすすめめにゅう”には

 

生姜焼き・メンチカツ・カニクリーム・

ポークステーキ・白身魚フライ・鳥唐揚げ・

スタミナ焼き・ミートソース・ナポリタン

          

などが列挙され、オール720円とずいぶん大雑把だ。

ポークステーキとナポリタンが同値だからネ。

 

何の予備知識もないままにフラフラッと入店。

中は昭和の喫茶店だった。

着席する前に早くも歩み寄って来たオバちゃんに

ナポリタンを告げると首を左右に振られた。

その様子がイヤイヤをする幼児みたいでユーモラス。

 

「ナポリタンはできないのネ?」―

今度はアゴを縦にコクリ。

おそらくスパゲッティの茹で置きがないのだろう。

ちなみに当店の名前は「フィレンツェ」。

やっぱりフィレンツェにナポリはなかったヨ。

 

代わりにすすめられたのが

日替わり定食(ドリンク付き)。

「鯖塩とメンチカツと焼肉が入って670円ですっ!」

「そう、じゃ、それで」―こっちも大雑把。

しかし、考えてみれば、

和・洋・漢ならぬ、和・洋・韓だな、これは―。

 

オバちゃんの大柄な身体は奥に消えたが

どうやら自分で調理するらしい。

まったく声がもれてこないからワンオペの様子。

10分足らずで日替わりが整った。

 

全て一緒盛りの皿には四半身の鯖塩焼き、

円いメンチカツ、豚ロース焼き肉1枚。

いずれも予想以上にきちんと仕上げてある。

豚肉はやはり朝鮮焼肉風の味付けだった。

 

副菜はサニーレタスのサラダ、ゆでたオクラ3本、

薄切り沢庵3枚、栄養バランスを考えてるネ。

味噌汁はかき玉にわかめ。

ごはんは少なめでお願いしてある。

 

常連客がパラパラとやって来る。

気心の知れたオバちゃん同士が

打ち解けて言葉を交わしている。

「フィレンツェ」はシニョーラの憩いの場なんだ。

食後のアイスレモンティーを飲みながら

深くうなづきました。

 

「フィレンツェ」

 東京都荒川区西日暮里5-35-4

 03-3805-2744