やたらに濃い味付けのチキンライスを
完食したものだから、めっぽうノドが渇く。
とてもじゃないが大瓶1本ではノット・イナッフ。
隅田の大川を吾妻橋で渡り、
黄金のオブジェの足元を抜け、
やって来たのは本所吾妻橋駅前。
そうです「明治屋酒店」です。
ドライの大瓶と電氣ブランの40度を
目の前に並べ、交互に味わう。
角打ちなのにリキュール類の品揃えが充実。
つかの間くつろぎ、滞空15分でオモテへ。
ハタと思い当たった。
そうだ、「味吟」のおいなりさんを買っとこう。
曜日が合わなかったり、
営業時間を過ぎてたり、
ここしばらく買えそで買えなかった。
押上までもう1駅歩く。
いなり3・かんぴょう巻き4。
当店最少の折詰を購入した。
煮汁をキッチリ絞ったいなりが好き。
色薄く煮上げたかんぴょうも上品。
再びハタと思い当たる。
いなり&海苔巻きの盛合わせは助六と呼ばれる。
何となれば前述の「助六」。
主人公・助六の恋人が吉原の花魁・揚巻なのだ。
”揚”はいなり寿司の油揚げ、
”巻”は海苔巻きに通ずる。
何とも洒落たネーミング。
江戸の粋、ここに極まれり。
どうだい、らびちゃん?
浪花にゃこんなセンスないやろ?
吉本がせいぜいやろ?
10年ほど以前。
女優の石原舞子に伴われて
中村吉右衛門さんの楽屋を
歌舞伎座に訪ねたことがあった。
食事の手を止めて応対していただいたが
食べ掛けの折詰をチラリのぞいて、いやビックリ。
いなりが1個に海苔巻きが数切れ残って
まさしく助六じゃござんせんかー。
歌舞伎の役者さんって実に
それらしいモノを召し上がられるんだなァ。
感心を通り越し、感動した次第であります。
花川戸から歩き始めて押上で助六。
助六をすごろくに例えれば、
振り出しに戻った気分でありました。
「明治屋酒店」
東京都墨田区吾妻橋3-7-12
03-3622-1592
「味吟 押上店」
東京都墨田区業平2-14-6
03-3623-3950