2023年3月10日金曜日

第3228話 われエボ鯛に脱帽せり (その2)

焼き上がったエボ鯛は美しくも可愛い。
小さな瞳をパッチリと見開いている。
一箸入れると皮目の下の白い身はふっくら。
思った通りにバツのグンである。

女将さんが
「ごはんの用意はよろしいですか?」
「ええ、その前にビールをもう1本お願いします。
 ごはんとお椀は声掛けしますネ」
「ハイ、ハイ」

銀ダラ西京の女性が退店してほどなく、
その席にやはり単身女性が来店し、
サバ一夜干しを通した。

右手の男性のエボ鯛も配膳された。
すると奴さん、納豆を追注するじゃないの。
勘弁しとくれヨ。
自分が食うぶんにはいいんだが
隣りで食われると匂いに辟易。
まあ、勝手な言いぐさなんだけどネ。

それがまたスゴいんだ。
箸でグルグル、グルグルやったあと、
醤油を垂らして茶碗のごはんに全ぶっかけ。
それはないぜ、セニョール!

サカナをつまんじゃ、
納豆めしをワシワシとかっこむ。
食卓の作法などあったものではなく、
欧米人にはとても見せられない。

外食の納豆は朝食限定にして欲しい。
できれば自宅で食ってもらいたい。
こんな苦言を呈するのは少数派だと、
認識してるんですがネ。

カウンターの遠くでミックスフライの注文。
女将さんが揚げているのは小アジとカキ。
もう一つは何だろう、イカかな?
訊いたら一口カツとのことでした。

オジさん帰って平和が戻る。
左の女性のサバ一夜もようやく焼けた。
おや、おや、大急ぎで食べてるヨ。
アッという間に完食して即お会計。

「時間が掛かるものねェ」と女将さん。
「走って帰ります!」とOLさん。
見ていたJ.C.が
「時間の掛からない焼き魚は
 焼き魚じゃないもんねェ」ー
チャチャを入れた。

ごはんをお願いして残りのエボ鯛。
アサリの味噌椀もうれしいなァ。
エボには完全に脱帽である。
おっと、今日は帽子をかぶってこなかった。
まっ半世紀以上、帽子はかぶってませんけど。

こういうときは何と言ったらよかんべえ。
志村けんならさしづめ、
脱帽代わりに脱糞だ!
それでキマリでしょうな。

「ますや」
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