2023年3月6日月曜日

第3224話 かつ丼は罪滅ぼしに成り得たか?

この日、 西武新宿線を降りたのは中野区・鷺ノ宮。
実は先のチキンライス。
その発信源に苦言を呈したところ、
汚名挽回と罪滅ぼしを兼ねて
今一度とっておきを紹介するとのたまう。

どうしてエンコの住人のとっておきが
中野くんだりにあるんだい?
しかもオススメが日本そば屋のかつ丼と来たもんだ。
「セイム・アゲインだったら承知しないぜ」ー
悪態をつきつつも半信半疑で遠征した次第なり。

この提案を受け入れた理由の一つは
鷺ノ宮というロケーション。
妙正寺川のほとりに開けた、
瀟洒(しょうしゃ)な町並みが好印象。

「豊年屋」はフロアが4X3、小上りに4X2、
計5卓20席のコンパクトな造り。
接客は女将らしきオバさんと
厨房に店主らしきオジさん。
あとは倅だろうか?
出前要員のアンちゃんが出たり入ったりしている。

珍しい海老かつ丼があり、浮気しかけたが
オススメを蹴とばすわけにはいかない。
初志貫徹のかつ丼を
ドライの中瓶とともに発注した。
ビールにはかっぱえびせんのサービス。

ややっ、どんぶりが錦牡丹じゃないかー。
かつ丼に手をつける前、
あらためて全体像を俯瞰する。
焼き麩・ナルト・わかめの吸い物。
たくあん&白菜漬け、
そしてミニサイズの冷たいそばがうれしい。

胸弾ませてフタに指を掛けるが
丈が低くて上手くつかめないんだ。
陶器の薬味入れなんかでときどき見受けるが
造り手は何を考えてこういう厄介なモンを
世に送り出すのかネ。

うん、なかなかのルックスだ。
どこの店でもそうだが玉子をあまり溶かず、
カツの上に白身が掛かるとじ方。
これこそかつ丼の醍醐味を生む。

4切れのカツは四角いのが2枚。
それを一刀両断して横に並べ、1枚揚げを装う。
肩ロースだろう、適度な脂身が味わいを深める。
割下はかなり甘めだが、これもアリだと思われた。

特徴的なのは玉ねぎの不使用。
代わりというわけでもなかろうが
グリーンピースが4粒散らばっていた。

友人に合格点をつけたら、彼女歓び勇み、
しばらく会ってなかったこともあり、
上野・浅草あたりで1杯おごらされる羽目にー。
まっ、罪は滅ぼされたから、いいんだけどネ。

「豊年屋」
 東京都中野区鷺宮3-15-14
 03-3339-4138