2023年3月9日木曜日

第3227話 われエボ鯛に脱帽せり (その1)

明治時代中期に東京湾の土砂によって
埋め立てられた人工島・月島で昼ごはん。
いえ、もんじゃ、お好み焼きが狙いではなく、
ターゲットは旨い焼き魚であった。

もんじゃ以外ではおそらく月島一の有名店、
「岸田屋」の角から路地に分け入る。
あっちの岸田はどうしようもないが
こっちの岸田は健在である。
もっともJ.C.はヒトが言うほど
名代の煮込みを評価していないがネ。

暖簾をくぐったのは「ますや」。
BMしていたわりに訪問まで月日を要した。
12時半では待たされるかな?
懸念は払拭され、入口そばに座れた。
逆L字形、正しくは
逆さL字形のカウンターのみの店だ。

卓上に品書きは無く、厨房の天井近くに
小さなボードが1枚掛かっているだけ。
女将さんに
「すみませんが全然読めないんですけど・・・」
「ああ、ハイ、ハイ」
外して目の前に置いてくれる。

焼き魚のラインナップは塩焼きが中心。
鮭・アジ・銀ダラ・カマスなど。
あとは銀ダラ西京とサバ一夜干し。
ほかに刺身盛合わせ、カキフライ、ミックスフライ。

今日は焼き魚に決めて来た。
最高値はキンキとノドグロの3千円。
手が出ないこともないがちと躊躇する。
白羽の矢を立てたのはエボ鯛塩焼き。
これなら半額の千五百円だ。
ドライの中瓶とお願いした。

店主がスッと出してくれたのは
大根おろし・白菜漬け・ポテトサラダの3点セット。
みなそこそこの量があり、
ビールの良き友となってくれる。
とりわけやさしい味わいのポテサラが出色。

左隣りの女性の銀ダラ西京漬けが配膳された。
脂の強い銀ダラはあまり好まぬものの、
美しい焼き上がりが美味しそう。
これを見てエボ鯛への期待がいっそう高まる。

右隣り、入口から最短の席に
常連と思しき男性客が着席。
品書きを見るまでもなく
J.C.と同じエボ鯛を発注した。
よって期待はさらに高まるのでした。

=つづく=