2023年8月9日水曜日

第3336話 行きつけ中華のリッチな冷やし

この日も暑かった。
いや、クソ暑かった。
若い頃は暑い夏が大好きで
どんなに暑くとも四の五の言わなかったし、
暑さに”クソ”をかぶせるることなどあり得なかった。
ところが・・・そうか、
これが歳を取るということなのか。

いつものように池之端でビールともりそばで
事足りるけど、そうだ、冷やし中華がいいな。
北区・飛鳥山のブレイクルームでは
まだ冷やしを食べていないしネ。

西巣鴨からバスに乗って飛鳥山に着いた。
J.C.担当の香蘭の笑顔に迎えられ、
空いていたので四人掛けに着卓。
何も言わずにドライの中瓶が運ばれ、
「今日はどっち?」
「そうだな、大根にしようか」
「ハイッ」

当店はビールを通すと、
ザーサイか大根の小皿がサービスされる。
これがバカにできず、ともに花丸ジルシなのだ。
上品な薄味仕上げがアチラ系中華と一線を画す。

すでに頭に刻まれた菜譜を手にするのは
将棋で言うところの形作り。
しかも今日は家を出る前から決めてある。
「冷やし中華は美味しいの?」
「うん、美味しいっ」
「ホントかい?」
「ホントに美味しい」
「じゃ、ソレを麺半分で」
「お醤油? それとも胡麻ダレ?」
「醤油でお願い」

暑いもんだから即2本目。
おおっと、香蘭が目の前に置いた冷やし中華。
箸をつける前にしみじみと見つめる。
具材は、焼き豚・錦糸玉子・トマト・
きゅうりと、ここまではフツーながら
加えてクラゲと小海老と来たもんだ。

海老は小海老と呼ぶのをためらわせるほどに
プックリと太ったのが3尾。
中細のちぢれ麺が歯に舌に心地よく、
冷やし中華としてはまぎれもなく一級品。

あらためて豊島区・北区、
ついでに板橋区の若者に推奨したい。
小遣いに困ったら彼女を此処に誘いなさい。
必ずや歓ばれるから。

これでブツクサ言う女なんか
どこぞのリッチだけど
ブチャイクな御曹司にでもくれてやりなさい。
それがこの世の男と女のバランスを
健全に保つ、唯一無二の方策であります。

「豫園飯店」
 東京都北区滝野川2-7-15
 03-5394-99515