2023年8月25日金曜日

第3348話 全員揃ってネパール娘

オペラシティから乗った渋谷行きのバスは
すぐに山手通りを右折し、南下してゆく。
代々木八幡の下を通り抜けた。
此処に来ると、いつも吉永小百合にまつわる、
エピソードを思い出す。

岡田太郎氏との結婚を両親に猛反対されるが
折れた母親がせめて式を
代々木八幡の神前で挙げて欲しいと切望する。
小百合はその願いすら聞き入れようとしなかった。

まっ、それはそれとして渋谷から何処へ行こう。
そうだ、目黒区・東山がいいな。
渋谷で大井町往行きに乗り継ぎ、大橋で下車。
すると246沿いに都内あちこちでお世話になる、
牛めしのチェーン店があった。

立ち食いそば屋では
ぬるいお冷やに口をつけなかったから
ノドはカラッカラのカラ。
水を得たサカナの如くにジャンプ・インの巻。

中瓶2本を飲み干し、そぞろ歩く東山商店街。
かつて近くの祐天寺に棲んでいた元カノと
よく歩いた道筋ながら
さほど懐かしさを覚えなかった。

ほどなく短い商店街は尽きる。
住宅街を歩いてもつまらないので山手通りに出た。
あとは中目黒に一直線だ。

東急東横線の高架沿いに昼飲み可能な居酒屋があった。
「たこや」という。
桜の名所、目黒川のほとりに「大樽」なる、
居酒屋の大店(おおだな)があり、此処はその支店だ。

時刻は15時半。
「いらっしゃいませ~!」
2人のお運びに迎えられた。
先客は2人連れが2組。
生搾りレモンサワーを通す。

ヒマなせいもあって彼女たちと言葉を交わす。
「キミたちは何処から来たの?」
「ネパール人です」
「カトマンドゥ?」
「そです」
どことなく人懐っこい。

つまみはチーズ包み揚げ。
フツーの酎ハイを追加し、残ったレモンを搾り込む。
次から次と出勤して来て総勢5人。
全員揃ってネパール娘と来たもんだ。

お替わりはサントリーの翠を使用するジンソーダ。
ケラケラ嗤う彼女たちの声を聞きながら
カラカラ氷を転がして味わいましたとサ。

「たこや」
 東京都目黒区上目黒3-7-1
 03-3794-1941