2023年8月31日木曜日

第3352話 どぜうは真夏に食べるべし (その1)

この夕べはいつもの6人組食事会。
どぜうを強く希望するメンバーの意を汲んで
西浅草の「飯田屋」に集まった。
何たって、どぜうの旬は夏だからネ。

深川・高橋の「伊せ喜」亡きあと、
東京の三大どぜうは当店と
駒形の「駒形どぜう」、
吾妻橋の「ひら井」と相場が決まってる。

雰囲気は駒形、味は吾妻橋だが仲間に一人、
どぜうを得意としないのが居て
みんなが鍋を突ついている間、
うな重でも食わせとけ、
てなもんで3軒中唯一うなぎを供する、
「飯田屋」となった次第なり。
J.C.は「ひら井」が大の気に入りなんだがネ。
一人の身勝手みんなの迷惑とはこのことである。

コロナ以来、短い中休みをとるようになり、
夜の営業は16時半スタート。
その時間に一同、2階に上がった。

窓際寄りの数卓は
昔ながらの畳に胡坐(あぐら)だが
大半は畳の上に椅子&テーブル。
江戸情緒を謳い文句にする老舗にしては
やることが無粋、ほとんどダサい。

まあ、膝や腰の悪い年配者や
外人客も少なくなかろうから
事情は理解できるが
掘ごたつという手もあるじゃないかー。

窓際に落ち着いて淺草銘柄のビールで乾杯。
みんなが品書きをキョロキョロしているスキに
マルとヌキ、2種のどぜう鍋を通しておく。
これは四人前づつ、計八人前を食了した。

メンバーのほとんどはどぜうといえば、
柳川しか食べたことがないと言う。
ヌキ(骨抜き)はともかく、
マル(尾頭付き)はだいじょうぶかな?
危惧したけれど、要らぬ心配だった。
揃いも揃って、旨い、美味しいの連発だ。
まあ、この連中は口に入れば
按摩(あんま)の笛でも食う輩だからネ。

「飯田屋」のオススメらしき純米酒、
福島の笹の川に切り替えた。
速やかに二度目の乾杯を終え、
さあ、二度目の料理の注文と参ろう。

=つづく=