2023年8月16日水曜日

第3341話 米っきり 米っきり もう・・・(その3)

米切りにはフラれたけれど
そば切りの肉つけはじゅうぶんに美味しかった。
並の日本そば屋の肉せいろの上をゆく。

さて、一度ソデにされたくらいで
くじけるJ.C.ではない。
翌週、同じ曜日に再訪した。
すると、接客の女のコは別人なれど、
またしても米切りは終わったと、のたまう。
コレを専門用語で異口同音と言う。
再びガッビーン!

「じゃ、日をあらためるネ」ー
われながら引き際は潔い。
去ろうとすると厨房から店主が顔を出した。
前回、長っ話をしたから
ある程度、気ごころは知れている。

「何とか半人前ありそうなんで
 そばと半々でいかがですか?」
もちのろん、異論などあるハズもない。
此度は冷たいつゆで
夫婦もり仕立てにしてもらった。

ほう、これが米切りかー。
そうめんよりはずっと、
冷や麦をちょいと太くした感じかな?
言われなきゃ、誰しもうどんと思うよなァ。
ただ、うどんに比べて
ノド越しのツルツル感が強い。」

でも、店主によれば注文の度合いは
そばが9割、米が1割程度とのこと。
五分と五分くらいでよかろうとも思うが
やはり関東人(埼玉県民を除く)には
そばの人気が根強いんだねェ。

そば湯をいただき、また店主と談笑。
目立たないから気づかなかったが
当店は長い歴史を刻んでいた。
もともとは父親が此の場所で
バーを営んでいたそうだ。

ハ~、なるほどなァ。
確認とるのを失念したけど、
おそらくバーの名前が
「艶」だったのだろう。

何でも米軍キャンプのバーにいたそうで
英会話も堪能だった由。
父親亡きあと、
息子が勝手にそば屋にしたんだネ。
もっともこの場所でバーはないわ。

=つづく=