2023年8月10日木曜日

第3337話 バスを待つ間に(その1)

リッチな冷やし中華を食べた翌々日。
J.C.はまた西巣鴨の交差点に現れた。

実はやすらぎの「豫園飯店」に行くときは
いつも家を出ると、
すぐそばのバスストップで早稲田行きに乗り、
千石一丁目で都営三田線・千石駅に乗り継ぎ、
二つ目の西巣鴨から
王子方面に向かうバスに乗車する。

三つ先の飛鳥山停留所は店の目の前。
所要時間は家からちょうど30分。
これじゃ行きつけちゃうよネ。

でもって、二日前の西巣鴨。
バスを待っていると
何やらいい匂いが漂ってきた。
バス停の真ん前の韓国料理店、
「韓なら」からだ。
紛れもない朝鮮焼肉のあの甘いタレの匂い。

此処から何度も乗っているが
こんなことは初めてだ。
なぜならこの店は韓流家庭料理が主流。
メニューに焼肉はない。

バスを1台やりすごし、
店頭のメニューをつぶさにチェック。
ハハ~ン、匂いの元はコレに違いない。
プルコギ丼である。

バスを待つ間に
いきなり鼻腔を突き抜けた匂い。
平浩二が歌い出すのも無理はない。

♪  バスを待つ間に 泪を拭くわ
  知ってる誰かに 見られたら
  あなたが傷つく
  何をとり上げても 私が悪い
  過ちつぐなう その前に  ♪
   (作詞:千家和也)

「バス・ストップ」は1972年のリリース。
けれどもこの曲を初めて聴いたのは1987年。
シカゴのジャパニーズ・ラウンジ、
今は無き「しの」でのことだった。

客の商社マンがマイクを握って熱唄。
うん、いい曲じゃないか、と思った。
われわれの世代は「 バス・ストップ」なら
イギリスのロックバンド、
ホリーズのそれが第一感だが
両曲の時間差はたかだか6~7年に過ぎない。

個人的には驚いてしまう。
平浩二ってそんなに古い人なの?

=つづく=