2012年1月23日月曜日

第235話 やっぱり観ちゃった大相撲 (その1)

大相撲には決別したつもりでいた。
八百長問題に対する日本相撲協会の不明朗にして
公平さを欠く終止符の打ち方に業を煮やしたからだ。
ところが根っからのスポーツ好きをどうにも抑えきれず、
結局は薬局、毎夕ではないにせよ、
ヒマを持て余すとちゃっかりTVの前に座り、
合わせるチャンネルはNHK総合ときたもんだ。

それにしても去年は散々だった。
ひいきにしていた桐山部屋は
朝日山部屋に吸収合併されちゃうし、
唯一の関取だった前頭・徳瀬川は廃業させられ、
ふるさとのモンゴルに帰ってしまった。
何でも中古自動車関連の仕事をしているらしい。

そんなこんなでずっと気乗りもせずに取組を観ていたところ、
琴奨菊、稀勢の里と国産の大関が立て続けに生まれ、
頃合いよく年も明け、ここは心機一転とばかり、
気を入れ直して初場所を見守っていた。

するとうれしいことに応援する把瑠都が初優勝してくれた。
さすがに横綱には全勝優勝を阻止されたけどネ。
今、幕の内でひいきにしているのはこのエストニアン力士だ。
なあ~んも考えない(実際は考えてるのだろうが)能天気なところが
何よりも気に入っている。

あのつぶらな垂れマナコを見ると、
「0011 ナポレオン・ソロ」のロバート・ヴォーンを思い出す。
愛嬌があって茶目っ気すらあって
憎めない性格の持ち主は今まで角界にいなかったタイプだ。
いつぞやはインタビューで
「私も人間ですから・・・・」―これには笑った。
どこで覚えてきたのか知らんが言うにこと欠いてまぁ。

今場所は12日目の二番の注文相撲がすべてであった。
ベア(雄熊)がブル(雄牛)をはたき込んだ把瑠都ー稀勢の里戦。
闘牛士が猛牛をかわして送り出した日馬富士ー白鵬戦。
優勝の行方を決定づけたこの二番に尽きる。
ただ、把瑠都に対する観客の”帰れコール”はないだろう。
今や日本人の期待の星となった国産車・稀勢の里が
ひっくり返されるのを見て
怒りのおさまらないファンの気持ちも判らぬではないが
あれは稀勢の里が無謀にしてバカ正直に過ぎるのだ。

ああいう一番のあとでは必ず解説者が苦言を呈するのが常。
でもネ、その文句はもう耳タコ、いい加減にしてもらいたい。
奇襲は反則に非ず、ルールに則った正しい戦法ではないか。
解説者諸君よ、もしも不満ならば
キミたちの手でルールを改正したらいかがかな?
相手力士とぶつかるまでは、”立会い変化禁止令”とかネ。
過去には立会いにけたぐりをカマした横綱すらいたっけ・・・。
アレはトンデモない生き物であった、ちと懐かしい。

注文相撲に関しては
昨夜のNHK「サンデー・スポーツ」に
生出演した把瑠都自身も語っていた。
「いろいろ言われても勝つのが一番」―
おう、そうとも、その通りだぜ。
勝つと負けるは大違い、それが勝負の世界じゃないか。
把瑠都よ、アンタは正しい。

=つづく=