2012年12月4日火曜日

第461話 港の見える丘の下

 ♪ あなたと二人で来た丘は
   港が見える丘
   色あせた桜唯一つ
   淋しく咲いていた
   船の汽笛咽(むせ)び泣けば
   チラリホラリと花片(はなびら)
   あなたと私に降りかかる
   春の午後でした      ♪
         (作詞:東辰三)

「港の見える丘」は敗戦の2年後、
1947年のリリースで平野愛子のデビュー曲。
15年後の1962年、横浜に港の見える丘公園が開園した。
もちろん公園名はこの流行歌にちなんでいる。

港の見える丘には公園のほかに
横浜外国人墓地(通称:外人墓地)があり、
この一帯は山手地区。
カップルの散策には恰好のエリアといえる。

丘のふもとに美味しいラーメン店があるとの情報を得て
とある日曜日、東京駅から東海道本線に乗り込んだ。
実はその夜、伊勢佐木町近くの中華料理屋で
J.C.主催の小宴会を張る予定であったのだ。
晩餐が中華だというのに
昼からラーメンを食わなくてもよさそうなものだが
ぜひ訪れたかった店につき、ほかの選択肢はなかった。

つき合わせたのは鎌倉在住のP子。
当ブログにも何度か登場しているからおなじみでしょう。
オンナおんなしていない、
サバサバした性格はまったくの天然。
養殖モノがはびこるご時勢には貴重であろう。

JR横浜駅のホームで待合わせ、
京浜東北線に乗り換えて石川町で下車。
「下前商店」に向かってトコトコ歩いて行った。
店先の行列を形成するのは6名、何だこれなら楽勝じゃん。
と思ったのもつかの間、店内に立ち待ち客が10人ほど居たヨ。

40分ほど経過して席にありつく。
サッポロの赤星ラガーを飲みながら出来上がりを待ったのは
麺少なめのラーメン、細切り叉焼とねぎが別盛りのネギソバ、
そしてもう一つの人気商品、カレーライスのスモールサイズだ。
これを分け合う腹積もり。

鳥ガラ主体の醤油スープが好感を呼ぶラーメン。
塩味スープがねぎ&叉焼とマッチするネギソバ。
ともに麺は細打ち。
クローヴ(丁子)が主導する辛めのカレー。
三者三様にイケている。
L字形カウンター内のスペースはかなりのものだが
中にはオニイさんが独り切り。
注文・調理・会計、そのすべてをこなす。
人件費は切詰められているし、商店街からちょいと外れている。
こりゃ効率がいいから儲かるだろうな。

迷うのが心配な向きは元町の老舗パン屋、
「ウチキパン」を目指すとよいだろう。
何ならここの店員サンに場所を訊いちゃうのが早道だ。

「下前商店」
 神奈川県横浜市中区元町1-54-1
 045-662-6588