2012年12月20日木曜日

第473話 初めて蕨で飲みました

埼玉県・蕨市は面積において日本最小の市。
5.1平方キロメートルに7万1千人余りが住んでおり、
人口密度の高さも日本一である。

ずっと以前に一度だけここを訪れたことがあった。
当時のあるとも(歩き友だち=散歩の友人)と
二人で駅の周辺を2時間ほど徘徊したものの、
真っ昼間だったため、町の全貌を知るにいたらず、
その相棒からは
「つまんないとこに連れて来ないでおくれ、電車賃の無駄だヨ!」
たしなめられた苦い思い出があるのだ。

蕨といえば、1970年代のストリップ劇場華やかなりし頃、
東京の街角でよく蕨OS劇場のポスターを見たものだ。
往時、蕨と西船橋はストリップのメッカだった。
町を歩いたときに、ふとそのことを思い出したが
当地に乗り込んだのにポスター1枚貼られているわけでもなく、
とっくに消滅したものと決めて掛かり、あえて探さなかった。
それが今日、この稿を書き始める前に調べたら
蕨ミニ劇場というのが細々と営業を続けていることが判明。
客が20人も入ればいっぱいらしいが
とにかく驚いたネ、シーラカンスに遭遇した思い。

此度は「喜よし」という焼きとん屋が目当て。
これも数年前、何かの雑誌でなぎら健壱サンが紹介していた。
蕨駅から歩いて数分なのに店があるのは川口市。
駅の西は丸っきり蕨だが東は蕨と川口が複雑に入り組んでいる。
まったくヘンな町だヨ、ここは。

「喜よし」の焼きとんは味噌ダレがウリ。
同じ味噌ダレで有名な中野区・野方の「秋元屋」は
ここから分かれたのだと、どこかで聞いた記憶がある。
埼玉県・東松山市は味噌ダレの豚カシラをやきとりと呼び、
市内に何十軒もの専門店があるが、まだ行ったことはない。

さっそく生ビールとともに焼きとん・みそ焼きをお願いする。
カシラとレバーのミックスが6本で500円と安い。
本来はタン・ハツ・シロ・ナンコツが揃って6種・6本らしい。
仕掛けた時間がちょいとばかり遅かったかな・・・。
まっ、タン・ハツはあまり好きじゃないし、
ナンコツは固いのに出食わすと歯のためにならない。
なんて負け惜しみ言ってら。

カシラに味噌はよく合うがレバーは甘辛のタレのほうがいい。
素直な感想である。
煮込みはここ2ヶ月ほどイヤというくらい食べたのでパス。
ネギみそきつね焼き(120円)を2本追加した。
きつねといえば油揚げだ。
まずまずながら、湯島「シンスケ」のきつねラクレットには及ばない。
値段がずいぶん違うのでこれは致し方ナシ。

わざわざ遠征するに値する店でも町でもないけれど、
ディープタウンで飲みたい向きなら楽しめるところだろう。
でも、手前に十条・赤羽の最強コンビが控えてるからねェ。
よほどの決意を持って臨まないと、
北区で途中下車しちゃうことになりそうだ。

「喜よし」
 埼玉県川口市芝新町2-11
 048-266-1002