2012年12月13日木曜日

第468話 煮込み追いかけ伊勢崎線 (その1)

昨日は五反田発の東急池上線だったが
今日は浅草発の東武伊勢崎線。
何やら私鉄づいている。
野口五郎の「私鉄沿線」でも聴きたい気分だ。

今年もいつの間にか師走、
先月、先々月は発売中の「東京冬ごはん」の取材で
毎晩が煮込み状態だった。
やくざの大喧嘩(でいり)や要人暗殺の際に
寝込みを襲われるのはよく耳にするけれど、
煮込みに襲われたのはJ.C.くらいのものではないかいな。

とまれ、都内をあちこちさまよい、再検証に次ぐ再検証。
しばらく煮込みのカオはご免こうむりたいと思った矢先、
O編集長から発信されたミッションが伊勢崎線を踏破せよ! 
なかなか厄介なんだな、これが!
伊勢崎線といっても
浅草の川向こう、いわゆる墨東や北千住は熟知している。
しかし、その先はあらたに地道に探索せざるをえまい。

そうして侵攻した西新井の町。
こんなときには仲間に声を掛けるのが一番。
改札で待合わせたのは春日部のお茶屋社長・Hしクンと
本郷の現役大学院生・ブンガクくんである。
こう見えても(見えねェ!ってか?)気のいい二人だ、

皮切りは駅東口の「丸重」。
珍しい生ホッピーに意表を衝かれた。
しかも白・黒の両揃いときたもんだ。
1杯ずついきたいところなれど、これからが長い。
妙案のハーフ&ハーフをグイッと飲る。

目当ての牛すじ煮込みは豆腐が入った甘辛醤油味。
足立区ではなく、墨田区の水準に達している。
にらオムレツと呼ぶにふさわしい、にら玉がよかった。
1皿4本のもつ焼きは塩とタレで計2皿。
総じて悪くなかったが、西新井代表とまではいかない。

西口に回って徒歩数分の関原地区を目指す。
未訪ながら目星を付けておいた「浩二」が2軒目。
鶴田浩二みたいな店主がいたら、どう仁義を切ろうか?
意外にも切り盛りするのは還暦超えの女将だけだった。
忙しくなると、近くに住む娘が手伝いに来たりもするそうだ。

瓶ビールを飲みながらの煮込みは豚シロの赤味噌仕立て。
ほ~う、けっこうじゃないの。
お茶屋がじゃがバタ塩辛、ブンガクがかきバターを所望した。
これはブンガクのほうの筋がよろしい。
ゆでたじゃが芋に出来合いの塩辛ってのはどうもネ。
品書きにあったラーメンと焼きそばは
娘さんが拡げたメニューで以前は出していなかった。
どこか惹かれるものがあったが
先を急がねばならぬ身、早くもお勘定である。

=つづく=

「丸重」
 東京都足立区栗原1-7-21
 03-3859-7679