2012年12月10日月曜日

第465話 山手線をひとめぐり (その1)

JR山手線の正式名称は
”やまてせん”ではなく”やまのてせん”。
もともと”やまのて”だったのが
終戦直後に連合国軍総司令部の指示で
鉄道施設のローマ字併記を実施した際、
旧国鉄内の通称”やまて”を
YAMATEとしたために混同された。

国鉄当局が二本立てを一本化したのが1971年3月7日。
先週のブログでふれたが
五木ひろしの「よこはま・たそがれ」が世に出たのも
J.C.オカザワが横浜から出国したのも1971年3月である。
だから何だ? と問われれば、
ベツに何でもございませんが・・・。

山手線には29の駅がある。
そのうち好きな駅(周りの雰囲気が)は
有楽町・上野・大塚・五反田の4駅。

有楽町にはいろいろと思い入れがある。
駅前の旧「レバンテ」は大好きなレストランだった。
デートの待合わせも今は無き日劇か、
今も在るソニービルだった。

 ♪ あなたを待てば雨が降る
   濡れて来ぬかと気にかかる
   ああ ビルのほとりのティー・ルーム
   雨も愛しや 唄ってる
   甘いブルース
   あなたと私の合言葉
   「有楽町で逢いましょう」   ♪
         (作詞:佐伯孝夫)

フランク永井が歌ったのは昭和32年。
作曲は国民栄誉賞の吉田正だ。
東京進出をはたしたデパート「そごう」の
キャンペーンのために生まれた曲は一世を風靡したものの、
今ではデパートの代わりにカメラ屋が営業しちまっている。
あゝ、無情!
ただ、東口の商業施設「イトシア」に
歌詞の一部が採用されたのは何となくうれしい。

上野に移動する。
この駅はお山の上と下とのギャップが面白い。
公園口から出るのと不忍口から出るのとでは
周りの様子がまったく異なる。
学生カップルのデートは”上”、
不倫相手との逢瀬は”下”であろうヨ。
もっとも熟年が”上”を散策してもすがすがしいし、
”下”で買い物や食事を楽しむ若者も目立つ。

J.C.はひんぱんに上下を行ったり来たり。
このところオペラや美術館にはご無沙汰ながら
わが楽園としての動物園の存在がとても大きい。
動物園の東園は”上”、西園は”下”に位置する。
西園の隣りの不忍池と弁天島も当然”下”だ。
立ち飲める酒場に事欠かない”下”は呑ン兵衛のパラダイス、
混沌とした魅力に満ちている。

=つづく=