2012年12月7日金曜日

第464話 よこはま橋に行きましょう (その3)

到着時間にバラつきがあったものの、
そこは土佐の高知の中村方式。
勝手に飲み始め、全員集合した時点であらためて乾杯だ。
のどをすべり落ちたのはキリン一番搾りの生ビール。

横浜は日本におけるビール発祥の地。
麒麟麦酒もこの地で創業している。
よって地域ではキリンが断トツのシェアを誇る。
調べたわけじゃないから確証はないけれど、
横浜をあちこち飲み歩き、肌で感じた。

みんなに食べてほしかったのは、いの一番に叉焼。
ここのはラーメン屋でおなじみの煮豚ではない。
オーヴンでビシッと焼き上げた焼き豚だ。
同じ豚でも煮るのと焼くのとでは大違い。
何といっても中華は”叉焼”、手抜きの”叉煮”はいただけない。
しかも紅麹の輪郭鮮やかな正統派だから余計にありがたい。

周りが赤い焼き豚は大好き。
中華街の中華料理店は玉石混交なれど、
こと叉焼に限っては東京の店舗よりレベルが高い。
J.C.にとって横浜の第一感は赤い叉焼と、
裕次郎の「赤いハンカチ」ということになろうか。

「酔来軒」の前菜はピータン・ハチノス・海老天の盛合わせ。
和気あいあいとつまみながら、15年物甕出し紹興酒に移行した。
ヨソでは見掛けぬ珍品のトマト肉団子は
ミートボールの中にプチトマトが潜んでいた。
スコッチエッグのゆで玉子の代わりにトマトを仕込んだものだ。
味的にはあまり感心はしなかったけれど・・・。

廣東料理を謳うだけに点心の海老餃子と焼売は高水準。
推奨品の中華風茶碗蒸しも和風と異なる佳品だ。
育ち盛りをとっくに超えたのに、みなの食欲は旺盛きわまりない。
締めにはタイトルロールの酔来丼を分け合った。
具は焼き豚・シナチク・もやし・ねぎ・目玉焼き
これがたったの400円では
「すき家」も「松屋」も「吉野家」も太刀打ちできまい。

よこはま橋をあとにして舞い戻った野毛の町。
かなり歩いたから馬体が重めのY子なんざ、
着いたときには息も絶えだえで酸素マスクが必要なほど。
それはともかく、横浜の野毛は東京の浅草みたいな存在。
呑ン兵衛を歓ばせる店がいくらでもある。

吟味の末、以前に立ち寄った居酒屋になだれ込み、
冷やしトマトでビールを飲んだところまで覚えちゃいるが
恥ずかしながらあとはすべて忘却の彼方。
ひとしきり飲んでそれぞれ帰って行った宮城・埼玉・千葉・本郷。
まことにお疲れさまでした。

「酔来軒」
 神奈川県横浜市南区真金町1-1
 045-231-6539