2012年12月24日月曜日

第475話 有楽町でロードショウ (その1)

=第365話 山手線をひとめぐり(その1)=で
昭和32年の流行歌、
「有楽町で逢いましょう」の1番の歌詞を紹介したところ、
3名の方からお便りをいただいた。

青森県のK藤サン
― 母が元気だった頃、よく台所で歌っていました。
  なつかしくて胸がキューッとなりました。―

東京都のS谷サン
― この歌がデパートのキャンペーン・ソングだったこと、
  初めて知りました。
  そういえば歌詞にデパートが出てきますものね。―

岡山県のY岡サン
― 当時の恋人たちはデパートで買い物をして
  ロードショーを観たのでしょうか・・・。
  映画の入場券っていかほどだったのかしら?―

それでは曲の2番。

 ♪  心に沁みる雨の唄
    駅のホームも濡れたろう
    ああ 小窓にけむるデパートよ
    今日の映画(シネマ)はロードショウ
    かわす囁き
    あなたと私の合言葉
    「有楽町で逢いましょう」    ♪
           (作詞:佐伯孝夫)

いただいたメールを読み下していて
ふと気になったのがY岡サンの問い掛けだった。
そう、昭和32年当時、
有楽町映画街における高級館のチケットは
いくらであったのだろう。

これにはおぼろげな記憶があった。
松本清張の初期の短編ミステリーに記述があったのだ。
おそらくわが家の本棚に収まっているものと思われるが
何せ清張の短編集だけでも10冊はあろうから
こいつは大変な作業になりそうだ。

手当たり次第に読み始めるのは効率が悪すぎる。
おそらく小説はリアルタイムの描写だろうから
昭和30年代初めの2~3年に書かれた作品にしぼり、
つぶしてゆくと3作目であっけなく問題解決。
自分のカンもまんざらではないと自画自賛しちゃいました。

小説のタイトルは「声」。
「小説公園」なる文芸誌の昭和31年10月号ー11月号に掲載された。
昭和33年には日活が「影なき声」というタイトルで映画化もしている。
主演は南田洋子と今年の1月に亡くなった二谷英明。
監督は若き日の鈴木清順で
彼が清張原作の映画を撮ったのはこの1本だけである。

「有楽町で逢いましょう」がリリースされたのは
昭和32年7月だからタイムラグは8ヶ月、まずビンゴであろう。
原作にはこうあった・・・。

=つづく=