2012年12月19日水曜日

第472話 こんなそば屋がありました (その2)

そうだ、そば屋の屋号をまだ明らかにしていなかった。
大正時代に開業したのか、「大正庵」という。
視力のよい方なら昨日の写真を読み取っていたでしょう。

2杯目のビールをグラスに注いでいるときに
そば定食が登場した。
(ウワッ!)
いえ、声は出さなくとも衝撃のご対面であった。
存在感に圧倒される
まず、ボリューム感がスゴい。
ひやかけはいわゆるぶっかけそばで盛り込まれたのは
 大根おろし・揚げ玉・切り海苔・
 白胡麻・きゅうり・ねぎ・粉わさび
ときたもんだ。
ちょいと気取ったそば屋なんざ、1200円はふっかけようという豪華版。
もりにおろしを添えただけで
野口英世1枚じゃ追っつかない店があるもんなァ。

一箸つまんで驚いた。
旨い、そばが旨い。
コシの強い歯ざわり、なめらかなのどごし、つゆもスッキリと、
こりゃ町場のそば屋のレベルじゃございやせんぜ。
都心であればコレ一つで千円が適正価格だ。

そばを取り囲む脇役陣もなかなかのもの。
チキン南蛮だけはそれなりで可も不可もなし。
隣りのキンピラがうれしいねェ、ビールにピッタリ。
新香だって黄色いたくあんじゃなく、きゅうりのぬか漬けだ。
ごはんの米の質、炊き加減ともによし。
食後の満足感は満腹感とない混ぜになってやって来た。

お勘定で再び驚いた。
請求額の千円ポッキリは何かの間違いだろうと質したところ、
オネエさんが指し示した壁の貼り紙には

 御苦労様そば定食
 ビール又はお酒付き 1000円

いくらデフレの世とはいえ、この値段にゃ野口英世もビックリだ。
以後、夜に2回も訪れて、くだんの”御苦労様”をいただいた。
そのときのおかずはハンバーグと秋刀魚の煮付け。
もちろん2晩ともごはん抜きでネ。

住所は赤羽北だがJRの北赤羽や赤羽よりも
都営三田線・志村坂上からのほうが近い。
駅を降りたら真っ直ぐの1本道で判りやすく高低さもない。
他の2駅はかなりの上り坂になるし、
赤羽だと初めての人はなかなか行き着けないかもしれない。

電車賃をかけても行く価値アリの「大正庵」。
お~い、T大のブンガクくんよォ!
このブログ見たらさっそく行きなよォ!
白山まで歩いて三田線に乗るんだぜェ!

「大正庵」
 東京都北区赤羽北3-25-4
 03-3908-8417