2013年3月6日水曜日

第527話 湯島のシラけ梅 (その1)

昨日までのシリーズ、「言問橋と吾妻橋」は終了したが
その夜はまだ終わっていなかった。
早めに仕掛けたおかげで夜は浅い。
観音裏を突っ切り、ひさご通り・六区・すし屋通りと歩く。
相方は鎌倉に帰らず、湯島に宿を取ったとのこと。
それなら時間を気にせずに済む。

田原町から地下鉄・銀座線に乗って上野広小路下車。
上野広小路と湯島天神下の交差点はきわめて至近、
300メートルとないだろう。
J.C.にしてみれば、当日は松坂屋前でバスに乗ったから
双六(すごろく)でいう振り出しに戻ったってヤツだ。

「ニュー王将」で炭水化物をトースト1枚に抑えたのは
ラーメンをすすってお開きにする算段があったため。
そんな胃に負担の掛かるマネは滅多にしないが
この夜は若い相棒に合わせてやることにした。
ついでにもう一つ合わせて、彼女のホテルのある湯島に来た。
「湯島だからって、ラブホじゃないのヨ」―だとヨ。

 ♪  湯島通れば 想い出す
   お鳶主税の 心意気
   知るや白梅 玉垣に
   残る二人の 影法師  ♪
     (作詞:佐伯孝夫)

明治の文豪・泉鏡花の「婦系図」が
昭和17年に映画化されたときの主題歌「湯島の白梅」だ。

 「切れるの別れるのって
 そんな事は芸者の時に云うものよ
 私にゃいっそ死ねと云って下さい」

お蔦の名セリフがあまりにも有名。

それにしても作詞の佐伯孝夫が意想外だ。
この御大は吉田正とのコンビだけではないんだネ。
二人の天才のハナシとなると、
長引いて簡単には終らないから稿をあらためるとしよう。

さて、狙いを定めたラーメン屋は天神下の人気店「大喜」。
TVや雑誌に何十遍も紹介された露出度の高い店だ。
12年前の初訪問から数えて今回が4回目。
数をこなしたわりに、この店の人気の理由がいまだに判らない。
いろんな種類の麺を試したものの、
旨い!と思ったことが一度もないのだ。

あえて選んだのは未訪のP子に食べさせてやろうという親心。
とは言ってもコヤツ、なかなかの食道楽につき、
臆することなくダメ出しするからなァ・・・あなどれないのよネ。

=つづく=