2013年3月12日火曜日

第531話 みぞれまじり 砂まじり (その3)

JR御殿場線に乗って御殿場から国府津に戻った。
今宵の晩酌はどこにしよう?
熱海じゃ東京から遠ざかるし、
駅のそばに真っ当な店が少ないから選択肢が限られてしまう。

沼津もまたしかり。
三島には塩ラーメンの旨い店があるが
中華そば屋で晩酌は味気ない。
富士山の湧水に活かされたうなぎに定評のある三島ながら
うなぎじゃ、ちょいと重い気がするし、フトコロも傷む。
小田原と平塚は比較的最近訪れているので避けておきだい。

そうだ! 茅ヶ崎に行ってみよう。
不案内な街とはいえ、駅周辺をウロつけば何とかなるわい。
てなわけで、みぞれまじりの御殿場から砂まじりの茅ヶ崎に移動した。

 ♪ 砂まじりの茅ヶ崎 人も波も消えて
   夏の日の想い出は ちょいと瞳の中に消えたほどに
   それにしても涙が 止まらないどうしよう
   うぶな女みたいに ちょっと今夜は熱く胸こがす

   さっきまで俺ひとり あんた思い出してたとき
   シャイなハートに ルージュの色がただ浮かぶ
   好きにならずにいられない お目にかかれて

   今何時 そうねだいたいね
   今何時 ちょっと待ってて オー
   今何時 まだはやい
   不思議なものね あんたをみれば
   胸さわぎの腰つき  
   胸さわぎの腰つき 胸さわぎの腰つき ♪

             (作詞:桑田佳祐)

大好きな曲なので、つい、長々と紹介してしまった。
1978年、サザンのデビュー曲がコレだ。

その年のことである。
どんなパーティーだったか、すっかり忘れてしまったが
(おそらく自民党の〇〇クンを励ます会)
芝公園の東京プリンスホテルでアルバイトをしていたとき、
デビューまもない彼らが突如としてステージに現れ、
いきなり歌い始めたのがこの「勝手にシンドバッド」。
まだほとんど知る人とてない未明のサザンオールスターズだった。

いったい、コイツら何者なんだい? なんかスゲェな!
ウエイター・ウエイトレス仲間が口々にささやき合ったものだ。
彼らをナマで観たのはわが人生、このときが最初で最後。
まさか日本を代表するミュージシャンに成長しようとは!
誰しも夢にも思わなかったのでありました。

=つづく=