2013年3月7日木曜日

第528話 湯島のシラけ梅 (その2)

湯島天神下の「大喜」に到着。
短かい協議の末、店頭の食券販売機で購入したのは
どちらも780円の中華そばと梅塩らーめん。
中華そばが780円かい? ラーメンも高くなったものよのォ。
ちなみに梅塩は”うめしお”とひらがな表記されていた。

どのみち生ビールを飲むことになるのだが
なぜか飲みものは食券不要、店内で注文を受けてくれる。
接客の女性にその都度、キャッシュを支払えば済む。
キリンの中ジョッキ(小さめだがネ)が1杯400円也。

食券システムなのに卓上にメニューが置かれている。
これって順序が逆じゃないの。
席を確保したあと、店外に出てチケット買うわけじゃないんだから。
客への配慮が足りず、なんかチグハグだなや。

そのメニューをながめていて気がついた。
人気のとりそば系から最安だったとりそば(730円)が消えている。
高額な上とりそば(850円)と特製とりそば(950円)だけになっている。
こういうのってイヤだねェ、エゲツないねェ。
(上)と(特)を残しておいて、なぜ(並)を消すんだろ。
それともメニューから外しただけで注文すれば作ってくれんのかな。
確認する気にもなれなかったわい。

本格中華料理屋でも高級店になればなるほど、
最安値のラーメンを意図的にメニューから外す店が見受けられる。
その点、日本そば屋はいいよねェ。
もり・かけを品書きから隠すなんてあざといマネは絶対にしないもん。
これが中国人と日本人の品格の差とはけして言わんけどな。

ビールを飲みながら待つこと10分、運ばれ来たる二つのどんぶり。
一目で麺とスープのバランスの悪さが見てとれた。
スープが少なすぎるというか、ケチッてるんだなこりゃ。
横から見ると逆三角形のどんぶりの形もよくない。
もっと丸みを帯びたんじゃないと、温かみが伝わらんヨ。

梅塩の麺を一箸つまんだP子が小首を傾げた。
続けてスープを一匙すすってキツいひとこと。
「おいしくないなァ、コレ!」―
オイ、オイ、そんなにハッキリ言わんでも・・・。
だがネ、中華そばのJ.C.もアグリー・ウィズ・ハーなのだ。
途中でどんぶりを交換し、互いのダメ出しを再確認した。
う~ん、殊に梅塩はイケませんな。

そもそもメニューが多すぎるんだヨ。
二兎を追うもの一兎を得ずのことわざに逆らい、
四兎も五兎も追いかけては失敗した典型例がここにある。
たまたま数日前にひかりTVで観た故・伊丹十三監督の「タンポポ」。
スジの軸は不振きわめるラーメン店の再生物語だが
山崎努扮するヒーローが言い切った。
「メニューはラーメンとチャーシューメンだけで勝負する!」―
ハイ、まさしくその通り。

わざわざ「大喜」なんぞに連れ込んで面目丸つぶれだぜ。
湯島だけに連れ込むならラブホのほうがよっぽど気が利いてらァ。
湯島の梅塩にシラけきった二人でありました。

「大喜」
 東京都文京区湯島3-47-2
 03-3834-0348