2013年3月11日月曜日

第530話 みぞれまじり 砂まじり (その2)

御殿場の「妙見」は昭和10年の創業。
丹那トンネル開通の翌年である。
東海道本線のルートが変わってしまい、
乗客はずいぶん減ったハズ。
微妙なタイミングで普通は開業に二の足を踏むんじゃないかな。
なのに断行した妙な見識から屋号を「妙見」としたのだろうか?

名物の鱒姿ずしはハナから持ち帰るつもりだった。
総合和食の店だから料理は多彩なのだ。
ずいぶん立派なメニューを入念にチェックすると、
店がこだわるモノに1ページを割いている。
紹介してみよう。

 木の花名水(富士山の湧水)  店内飼育の国産車海老
 御殿場産真妻わさび  高級ゴマ油  天然本まぐろ
 絶品うなぎ  厳選こしひかり

といった具合。

料理はこうであった。

 季節のとれたてお刺身膳 (梅)(竹)(松)
 お野菜の煮物と海の幸のちらし (桜)(梅)(椿)
 活国産車えびの天ぷら・天重 (亀)(鶴)
 富士山湧水仕込みのうなぎ (亀)(鶴)

このほかに
”日本各地からとれたて鮮魚満載”と銘打ったにぎりが
妙見寿司・とれたて一番・おまかせにぎりの3種類。

各料理ともおおむね上は4800円、下は2500円といったところだ。
値段が高騰しているうなぎはとびきり高く、
(亀)が5300円、(鶴)は4600円。
もっともうなぎに興味はないし、予算的にも高嶺の花で手が届かぬ。
お手頃な煮物と海の幸のちらしにした。
それも最安で2500円の(椿)を選ぶ。
野菜の煮物と海の幸が同居

魚介の内容は、さより・あじ・中とろ・いか・海老・いくら・焼き穴子。
小ぎれいに盛り付けられてはいるが、少々の割高感は残る。
味のほうもそれなりの美味しさのあとにもの足りなさを感じる。
ビールの中瓶と一緒にいただいたが、そのあいだ、
話好きの女将が往時の御殿場の状況を問わず語りに語ってくれ、
とても興味深いものがあった。

鱒ずしを一つブラ下げてお勘定。
テイクアウト可能な姿ずし・押しずしは計5種類。
鱒・鯖・鯛・うなぎ、そして6~9月限定の鮎である。
掛け紙がシャレている

帰宅後、包みを開いた

鱒といっても養殖の虹鱒だから
富山の鱒寿司と比較すれば分が悪いが
下手な駅弁よりナンボかよかった。

さて、みぞれまじりの御殿場をあとにして
これからどこへ向かおうか・・・。

=つづく=

「妙見」
 静岡県御殿場市新橋1983
 0550-82-0142