2013年6月4日火曜日

第591話 楽しみ本線瀬戸内海 (その1) 古く良かりしニューヨーク Vol.6

およそ半年ぶりで”古く良かりしニューヨーク”シリーズいきます。
読売アメリカの連載コラム、
J.C.オカザワの「れすとらんしったかぶり」から
思いついたままピックアップしてお届けする回顧版。
今回は出張で一時帰国したときのものですヨ。

=楽しみ本線瀬戸内海 ①=

東京でのシゴトを終えて待望の休暇に突入。
行く先は瀬戸内海をはさんで対峙する香川県と岡山県。
旨いものだらけの幸福な旅となった。

讃岐は琴平の「小縣家(おがたや)本店」。
名代はしょうゆうどん。
客は注文と同時に丸のままの大根とおろし金を与えられる。
うどんがゆで上がるまでのあいだ、
客はもっぱら大根おろしの作成に忙しい。
店のあちらこちらでガシゴシ、ガシゴシとそれはにぎやかなことだ。

ゆで立てを冷水で引き締められ、どんぶりに盛られたうどんに
おろしをたっぷりとまぶし、備え付けの醤油を掛け回す。
この醤油がミソで鮨屋の煮切りに似た旨みがある。
最後にすだち酢を落としてツルツルッとすすり込む。
これ以上のうどんの食べ方はありませんネ。
しかも1杯がたったの400円だ。

唯一、残念だったのは酢橘(すだち)の季節を外したこと。
秋口から年明けまでは生の酢橘を添えて出すという。
それを搾って、もいちど食べてみたかった。

広島との県境に近い笠岡に
街道名物の食堂があると聞いてクルマをとばす。
その名も「シャコ丼の店」。

シャコのフライを溶き玉子でとじて
かつ丼仕立てにしたものだが文句ナシに旨い。
玉子のふっくら加減がほどよく、つゆは薄めの多め。
主役のシャコのレベルも高い。
酢の物を試してみると、
そんじょそこいらの鮨屋じゃ太刀打ちできないシャコだった。

泣かせてくれたのが200円均一の惣菜類。
とりわけイカと竹の子の煮付けは東京で食べたら
1000円は下らない代物だヨ、エッ、お立会い!

と、まあ、こんな具合であったのだが
この瀬戸内の旅では最後にもう1軒、
あの丸谷才一サンが”西国一の鮨や”とほめたたえた店に寄った。
以下、次話であります。

=つづく=

「小縣家本店」
 香川県仲原郡満濃町吉野1298 -2
 0877-79-2262
 高松空港ほかに支店あり

「シャコ丼の店」
 岡山県笠岡市笠岡5914-5
 0865-63-450