2013年6月11日火曜日

第596話 マカロンの謎が解けた!

フレンチやイタリアンのコース料理をいただいても
デセールやドルチェをパスしてしまうので
洋菓子を口にすることがめったにない。
ただし、ラム酒の効いたサバランや
色とりどりのマカロンなんかはわりかし好きなほうだ。

マカロンと言えば、
十数年前に銀座「ダロワイヨ」のそれを初めて食べたとき、
そのおいしさに少なからず驚かされた。
当店のバゲットは東京でも一、二を争う焼き上がりにつき、
ときどき買うからついでに手を出してみた次第だ。

でもネ、子どもの頃に食べた無骨なマカロンとは
似ても似つかない代物なんだよなァ。
したがってアレはまだ貧しかった日本が
勝手にアレンジしたものと信じ込んでいた。
それがつい数日前、ひょんなことから謎が解けた。
目の前を覆っていた霧が晴れたのだ。

ヒマに任せてぼんやり観ていたひかりTVの旅チャンネル。
二人の日本人女性が
南仏はサン=テミリオンの歴史ある市街を散策している。
この街はワインで名高いボルドーの北東35kmに位置して
車を飛ばせば30分ほどの距離だ。
紀元前にはすでに進出した古代ローマ帝国が
ブドウの栽培を始めており、有史以来のワイン王国といってよい。

ナビゲーターの女性たちが入ったのは一軒の洋菓子店。
マカロンの専門店である。
とにかく小太りのマダムが説明を始めたのはマカロンの作り方だ。
それをカウチに引っくり返って観ていたJ.C.、思わず飛び起きた。
何となれば、画面に映し出されたのはサイズこそ違え、
忘れもしないガキの時代に食べてたアレと瓜二つなんですもん。

あとは食い入るようにTVに釘付けである。
この素朴な焼き菓子はファルリオン・マカロン、当地の名物であった。
ちなみにクリームやフルーツをはさんだオサレなのはパリ風だそうだ。
なるほどネ。
目からウロコがポトリ。
胸につかえていた異物も胃の腑にストン。
梅雨の雲間に陽が射したかのようだ。
もっとも今年の関東地方はさっぱり降らないけどネ。

店名は忘れちゃったが、この店は1620年の創業(スゲェ!)。
当時の修道院のレシピを今に受け継ぐという。
メインの原料はスイート&ビターの2種類のアーモンド。
道理で香ばしいわけだ。
しかし昔の日本の菓子に高級なアーモンドが使われているハズもない。
おそらく南京豆あたりを代用したのだろう。
あの頃の東京にはザ・ピーナッツの歌声があふれていたからねェ。

急に懐かしのマカロンが食べたくなり、
近所のスーパーに駆け込んだものの、案の定、不在。
確か、数年前にどこかで見た記憶があるような、ないような・・・。
でなわけで明日にでも
御徒町の「二木の菓子」に出掛けるつもりになったのでした。