2013年6月25日火曜日

第606話 豆腐畑につかまって (その2)

一昨日の日曜日。
10時きっかりにスイーパーのCエさんが現れたので
10時5分過ぎには自宅を出たJ.C.、
まずはブランチの算段である。
様々なアイデアが浮かんでは消える。

上野へ出て駅構内の駅弁、
あるいは松坂屋で「天一」の天丼か、
「井泉」のとんかつ弁当を買い求め、
動物園で開くとしようか・・・いや、やめとこう、
日曜は混んでてやかましいから
オチオチ弁当なんか食ってられやしない。

北区・十条の食堂「天将」は朝から営業している。
ケチャップ味の炒り豚にライスを付けるのも悪くない。
でもねェ、十条はちょいと遠いや。
それにあの店へ行ったらシラフで帰ってはこれない。
下手を打つと、放映時間に間に合わなくなる。
それでは本末転倒、何のための時間調整だか判りゃしない。

大丸デパートの「イノダコーヒ」もいいなァ。
あそこの朝食はまことにけっこう。
しかしここも動物園と同じ、近頃の東京駅の混雑ぶりは半端じゃない。
君子、人混みに近寄らず、くわばら、くわばら。
第一、「イノダコーヒ」は京都市・中京区の本店が一番だしネ。

するってェと、浅草の「喫茶アロマ」かな。
コーヒーはあまり飲まないからいつもミルクティーだが
オニオンサンドが他店にはないユニークな一品で旨い。
朝食ならともかく、ブランチにはボリューム的にもの足りないから
おごってホットドグッグを1本付けるか。
思いは散りぢりに乱れまくってしまうのだ。

そうしてこうして白羽の矢を立てたのは、とある豆腐屋さんだ。
「とうふ工房 須田」というのが正式名称。
土・日・祝日に限り、朝から昼過ぎまで
”いなり御膳”(750円)を提供している。

言問通りと不忍通りが十文字に交わるのが根津の交差点。
根津の谷と呼ばれたくらいだからここは低地。
交差点から谷中の墓地に向かう善光寺坂を登り掛けてすぐ、
1本目の路地を左折すると、製造と小売りが主体のこの店がある。

路地を曲がらず、もうちょいと坂に進めば、
おそらく本店だろう、同名店がもう1軒。
ただし、こちらには朝食の用意がない。

コンパクトな店内には二人掛けのテーブルが6卓。
10時半過ぎの入店時に先客は若いカップルが1組だけだ。
以前から当店の存在は認識しており、
折りがあったらここで朝めしを・・・という気はあった。
でもネ、いくら豆腐が好きでも豆腐づくしというのはなァ。
なかなか食指が動くものではないのですヨ。

=つづく=