2013年12月16日月曜日

第730話 「あしたのジョー」の町から (その5)

泪橋から始まったはしご酒は日本堤を経て向島に到達。
「かどや」の店先には
”大衆酒場”と染め抜かれた暖簾が夜風になびいている。
ところが店内は大衆酒場の雰囲気には非ず。
むしろ、ちょいとモダンな居酒屋といった趣きだ。

当夜の相方、
N目サン from Kitakyushu はかなり酩酊の様子。
しかも青森の田酒を所望におよんだ。
こちらもそれに倣っておつき合いの巻。

先刻まで焦点の定まらなかったマナコが
飲むほどにしっかりとしてきた。
目が据わったというんではなくネ。
不思議な方だなァ。
シラフに戻ったとは言わないがシャンとしてきましたヨ。

酒の肴は鯨ベーコン、牛もつ煮込みの2品。
くじベコは極上品とはいかないまでも
値段が値段だけにじゅうぶん許せる品質。
煮込みは牛もつ使用とあってコク味が深い。
もっともJ.C.の好みは豚シロの白味噌仕立て。
いわゆるホワイト&ホワイトですけどネ。

楽しいひとときを過ごし、そろそろお開きの時間。
と思いきや、終わんないんだな、これがっ!
つぶれそうでつぶれない相方を次にお連れしたのは
徒歩数分の距離にある同じく向島の「らん亭」だ。

戦前の、いや、もっと昔か・・・、
昭和初期の風情が残る仕舞屋風の店は中華そばと缶詰がウリ。
向島の料亭「きよし」と
神田のラーメン店「きび」のジョイントベンチャーである。
店主は「きよし」の御曹司で
料亭のほうは実の姉上が女将として仕切っている。
実はJ.C.、店主のK林サンとは何度か酒交した仲である。
しばらくご一緒してないが最後に飲んだのは祐天寺の「忠弥」。
15時の開店に備え14時半頃から並んだ記憶がある。

ここで飲みものを三たび瓶ビールに戻し、
厚揚げ焼き、蓮根のキンピラを合いの手とする。
4軒目とはいえ、食べるよりも飲むほうが主体だから
胃袋のキャパはまだまだあるわけだ。
よって名物の塩ラーメンをシェアして締めとした。
レイシオはあちら2/3、こちら1/3。
ややちぢれの中太麺、鳥&豚ガラだしのスープ、まことにけっこうなり。

酔い醒ましと腹ごなしを兼ねて深夜の街を歩く。
桜橋、あいや、言問橋、いえいえ、吾妻橋・・・
いったいどの橋を渡って浅草に・・・
気がつけば田原町を抜け、稲荷町に居た。
こりゃ、まいったな。

オマケにあろうことか、
ファミレス「J」のテーブルに差し向かいときたもんだ。
しかもこの後におよんで
J.C.はおつまみカキフライなる小皿でビールの中瓶。
N目サンはプッツンしたのか、プリン・アラ・モードだってサ。
揃いも揃ってバッカじゃなかろか!

=おしまい=

「かどや」
 東京都墨田区向島5-30-6
 03-3626-9606

「らん亭」
 東京都墨田区向島5-20-4
 03-3624-3988