2013年12月30日月曜日

第740話 路線バスを降りた町 (その3)

昨夜、NHK-BSの歌番組、
「歌謡祭2013~日本歌手協会設立50年~」を観てよかった。
ジェリー藤尾の「遠くへ行きたい」を聴けたからだ。
あの暴れん坊がやせてしまって
タキシードとドレスシャツのうなじの衿と衿のすき間が空いてしまって。
目頭が熱くなった。
ペギーの「南国土佐をあとにして」、”さくら”の「かあさんの歌」、
こまどりの「姉妹酒場」もよかったな。

さて、先週のつづき。
江戸川橋のうどん屋さん「はつとみ」のカウンター席にいる。
ビールを飲みながら品書きに目を通していて
惹かれたのは信州の郷土料理、塩いかであった。
海のない長野県でイカは獲れない。
こりゃ当たり前ですわな。
イカに限らず淡水系の生きものしかいないのだ。

そのすき間をうずめる意味もあっただろう。
おそらく新潟辺りに揚がったスルメイカの塩蔵品を
取り寄せたものと思われる。
と思ったら主な産地は隣りの富山県と
遥かみちのく青森県であった。
一部には海のない岐阜県で加工されたものもあるとか・・・。
そう、岐阜や福井でも食べられているという。

そのイカを塩抜きしてきゅうりもみと和えたのが塩いかである。
長野市生まれのJ.C.だが、子どもの頃のわが家の食卓に
塩いかがのぼることはまったくなかった。
母親が嫌いだったのか、
あるいは北信ではポピュラーでなかったのか、
霊園を訪ねて訊ねるワケにもいかない。
そこで調べてみたら南信地方の駒ヶ根・飯田・中津川あたりで
広く愛食されているとのこと、道理でなァ。

2年前だったか、軽井沢のスーパーマーケット「ツルヤ」で見つけ、
自宅に戻って塩いかを作ってみた。
イカは好きな食材ということもあって気に入り、
以後どこかで見つけたら買い込もうと思っているが、
まずお目に掛かれない。

実際に見てもらったほうが手っ取り早いか。
胡瓜だけでなく茗荷も
おろし生姜とマヨネーズも添えられている。
なかなかオツな一品である。
ただ、これはどうも塩いかではなさそうだ。
いえ、料理の名前は塩いかでも
使われているのは生のスルメイカを茹でたものではなかろうか。
ベツに美味しきゃいいんだが
信州人としてはやはり元来の塩いかに接してみたかった。

焼酎は宮崎産が中心。
麦のくろうまと芋の黒霧島を1杯ずついただく。
芋焼酎に東国原というのがあったが
ああいう人に東京都知事にはなってほしくないので見送った。

締めは釜揚げうどんである。
ほどよくクネクネとちぢれてる
いや、このうどん、柔らかめながら
舌ざわりとノド越しがとてもよい。
舌の上でツルルンと弾むことしばし、
いつの間にかノドの奥をすべり落ちてゆく。
ちょいとした白糸の滝ですヨ。
訊けば、これは宮崎うどんでありました。

=おしまい=

「はつとみ」
 東京都文京区関口1-48-5
 03-3260-9234