2019年7月4日木曜日

第2168話 白い粉にギクリ (その2)

目いっぱいの蟹目を、目いっぱいの引っ掻きで
倍返しされたJ.C.、この蛮行をどうして看過できよう。
憤然として立ち上がる・・・と思いきや、
われわれクラスはやはり理性が先行しますなァ、
今、札入れで引っ掻かれた背中の箇所を
自分の指でいたわるように掻いたのでした。

ところで入口に向かった狼藉者。
電話でも何でもなくて、やおらワイシャツを脱ぎ、
女将に預けて戻って来やがった。
何せ、カウンターは狭苦しいから荷物の置き場なんてない。
こりゃ、着ぶくれした客が押し寄せる冬場は
たまったもんじゃありやせんぜ。

脱衣のせいでツラはしっかり拝んだが
もはや、ツラなど問題じゃない。
シャツを脱いだはいいけどサ、
オメエ、それって下着じゃないの?
いやはや近頃の若いヤツときたひにゃ、
まったく、どうしようもないヨ。

長々と綴ったが、これはほとんど一瞬の出来事。
まだ注文も通していない。
ランチのサービスメニュー(日・祝を除く)は4品。
ロースかつ、ヒレかつ、チキンかつ、メンチかつが
税込みで1050円均一。
迷わず、ロースをお願いした。

すぐに運ばれたのはサラダとお新香。
サラダはレタスとわかめで
見た感じ、センスのかけらもない。
新香は拍子切りの大根醤油漬けだが、これも感心しない。
くだんの隣客はサラダをムシャムシャ食い始めたけどネ。

あらためて店内を見渡すと、揚げ手はアンちゃん独り。
発音からしてフロム・メインランドのようだ。
接客と調理補助のオネエ2人も同国出身だろう。
それを上手に取仕切るのが女将で
八面六臂のご活躍ときたもんだ。
かつて揚げ場に立っていた店主の姿は消え失せた。

繁盛店だから、それなりの財を成し、
後身に道を譲る、というよりは外国の若者を使って
左団扇の日々を送ってるのかもしれない。
まっ、下衆の勘ぐりにつき、悪しからず。

それにしても配膳に時間が掛かる。
客の回転率も悪い。
ごはん&キャベツのお替わり無料(1回限り)が
災いの一因となっているフシがある。

ぼんやりと厨房内を眺めていた。
1人の女性スタッフが味噌椀の準備をしていた。
おやっ、アレは何だろう。
エエ~ッ!
おい、おい、小姐(シャオチエ)、オメッ、何してるだっ!

=つづく=