2019年7月30日火曜日

第2186話 わざわざ練馬で三球三振 (その2)

ビールに氷塊を落として飲んでいる。
箸でステアすると炭酸が飛んで気が抜けるため、
もの静かに味わっている。
そんなの美味いのか? ってか?
美味いワケないじゃん!

おっと、この気の抜けた、もとい、
間の抜けた店の名前を書き忘れていた。
「やきとん だいだら 練馬店」という。
練馬店を名乗るからにはヨソにもあるハズだが
調べる気力が抜けてしまった。

択んだ串は、カシラ、レバ、フアの3本。
聞きなれないフアというのは肺臓のことで
一般的にはフワと呼ばれ、フアの表記は初めて見た。
こんなところも間が抜けている。

串はやや大ぶりで、カシラとレバはそこそこ。
フアは牛のそれよりフワフワ感を楽しめる。
ここでやめときゃいいものを
シロとキクをともにタレで追加。
キクはカシラの脂身らしい。

んぐっ、何だこりゃ! シロが噛み切れないヨ。
1串5ピースを持て余し、2個でギヴアップ。
ところが隣りのキクはもっとヒドかった。
シロよりさらに硬く脂っこいから
噛んでいるうちにタレが喉元を過ぎ、
味抜けの不快感が口中に残る。
キクはたったの1ピースでギヴアップ
金1210円を支払い、逃げるようにして退店した

時刻は16時ちょうど、まだまだ余裕がある。
雨もやんだことだし、1駅池袋寄りの桜台へ向かった。
狙いは昼からやってる「TAPAS 桜台」。
店名からしてスペインバルだろう。

初訪の店に徒歩8分ほどで到着すると、
店主らしき人物が表に出ていたのはいいが
半ズボンにサンダル履きときた。
「開いてますか?」
「はい、いらっしゃい、どうぞ」
言われるままに足を踏み入れる。

何だか漫画みたいにヘンテコな店内。
こりゃ、どう見てもスペインバルなんかじゃないゾ。
壁際の席がフロアから一段高くなっていて
近所の常連らしき客がそこへ登って競馬中継に見入っている。
店主と交わす会話も競馬一辺倒だ。

1杯300円の生ビールをお願いしたら、ここもサッポロ。
届いた生は小ジョッキより小さい。
ありゃ、オリオンのグラスじゃないか!
このほど野村ホールディングスと
米投資ファンドに買収された、
オリオンビールの文字がグラスに浮かび上がっていた。

=つづく=

「やきとん だいだら 練馬店」
 東京都練馬区練馬1-1-11
 03-6914-5083