2019年7月19日金曜日

第2179話 お茶は飲まない喫茶店 (その1)

先月の末、足立区・綾瀬の駅そばで
レトロな喫茶店に遭遇したことを書いた。
やはり気になって乗り込んだ東京メトロ千代田線だったが
その前に近所の西亀有に棲む友人にメール。
案の定、彼女はその存在を知っていた。
しかし、どうも話がかみ合わない。
メールじゃもどかしいので電話をかけると、別の店だった。
彼女の知る「蘭蝶」なる店は
レトロ感において界隈随一と聞き及び、こちらにも興味深々。
よお~し、両方ともいてまえ!

川の手通りに面した「蘭蝶」には見覚えががあった。
数年前、綾瀬から堀切へと南下した際、
通りすがってちょいと惹かれた店だったのだ。
ただし、当時は喫茶店というもの自体がアウト・オブ・眼中。
一べつくれただけでスタスタのテクテクであった。

店内は薄暗く古めかしい。
席は8割方埋まっており、あちこちから紫煙が上がっていた。
「蘭蝶」だけにきちんと蝶タイを締めたオジさんが
独りで接客に当たっている。
年季を感じさせて、この人がマスターだろう。
厨房内にはオバさんが2人いた

13時過ぎだからまだランチタイムだ。
当店のフード・メニューは喫茶店のそれではない。
11時から15時までの日替わりランチは2種。
ハンバーグ&鳥唐揚げのA、焼きき魚(鮭)&納豆のBである。
ほかにもカレー、ナポリタン、ミートソース、ピラフ、
海老フライ、豚生姜焼き、ポークカツ、グラタン、ドリア、
ピザ、焼きそばなどなど。

スーパードライの小ジョッキ(450円)とAランチ(680円)を通す。
ドリンクを付けると100円増しでコーヒー・紅茶・ミルクの三択。
このミルクってのがいかにも古い喫茶店らしくていいやネ

10分足らずで整ったトレイには
小ぶりのハンバーグ、唐揚げ3個、千切りキャベツ、きゅうり漬物、
ふりかけ、わかめとキャベツの味噌汁、ごはん。
出来合い風のドミ・グラスが掛かった細挽きのハンバーグは
下世話な味付けながら、そのぶん懐かしさを感じさせる。
唐揚げ3個は存在感があっても食味はフツー。
キャベツはあらかじめサウザンアイランドをまとっている。
きゅうりはキューちゃん風だが真緑の色合いにどん引き。
ふりかけは丸美屋のたまごふりかけと称する小袋で
当社主力商品ののりたまとは異なる。
味噌汁は化調まみれ、ごはんはハナから大盛りだ。

苦闘の末、ごはんとふりかけを半分、
きゅうりと味噌汁のほとんどを残しながらもほかは食べ終えた。
店の雰囲気は嫌いじゃないけれど、再訪はちと考えにくいかな。

=つづく=

「蘭蝶」
 東京都足立区綾瀬2-29-12
 03-3601-5461