2019年7月17日水曜日

第2177話 アサヒを浴びて サッポロに酔う (その2)

あまりに長き店名につき、省略してアサヒのビヤバー。
このあとメイン・イヴェントが控えているため、
ここは暴飲暴食などもってのほかで
軽飲軽食に徹しなければならない。

つまみに珍しいフラメンカ・エッグをお願い。
スペインの家庭的な玉子料理は
野菜もたっぷりだから女性受けする1皿だ。
数分後、注文の際の外国女性とは異なる、
マネージャーだろうか、黒服の男性が登場。
「もうしわけありません。
 フラメンカのトマトソースを切らしてしまいまして」

ないものは仕方ないから
代わりに霧島黒豚の肉天・山椒風味を—。
ただ今、霧島黒豚のフェア中なのだそうだ。
せっかくだからガツンとあぶり焼きをいきたいけれど、
前述の理由で見送りの巻。
ついでにじゃが芋のグラタン・ドフィノワを通した。
これはレストランではなく、
JALの機内食でたびたび出会った料理。

エクストラ・コールドをお替わりする。
肌寒い日ではあったが
どこでも飲めるビールじゃないから、つい頼んでしまう。
運ばれた肉天をつまむとこれがイケた。
霧島黒豚ってこんなに旨いもんだったっけ。
ソテーかカツレツにしたら、さぞ美味であろうヨ。

相方が苦手だと言って残したビタースタウトを賞味する。
うわっ、スゴいなコレ!
限りなく苦み走って、ビール界のエスプレッソだ。
真っ黒なギネスも真っ青の苦さは
ギネスブックに乗せてもいいんじゃないかネ。

ソースがゆるいアンチョヴィ風味のドフィノワは
ほうれん草のソテー添え。
じゃが芋自体の火の通し浅く、半生状態だが
これは料理人の意図するところかもしれない。
完飲完食して銀座に移動する。

銀座ライオンのフラッグシップ・ショップ、
7丁目店の5階、「音楽ビヤプラザ」に上がった。
生の歌唱と演奏を聴きながら生ビールを楽しめる、
J.C.にとって夢の殿堂ともいえるホールだ。
ほどなくメンバーが勢揃いし、泡で乾杯。
主役はのちほどステージ上で出演歌手による、
「ハッピー・バースデイ」の洗礼を受ける手筈。

各自、好みのドリンクに切り替えた。
J.C.はサッポロ黒ラベルのブーツグラス。
中ジョッキと大ジョッキの中間だから容量は700cc ほど。
サッポロのブーツを手に取ると、
思い出すのは忘れ得ぬ、あの夜のことである。

=つづく=

「BEER&SPICE SUPER"DRY" KITTE 丸の内店」
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