2011年4月5日火曜日

第24話 ため息の老舗鮨 (その1)

カズが華麗なゴールを決めてくれた。
ゴールもさることながら、華麗なカズダンスがまた見事。
まるでドラマのような幕切れに
勇気付けられた被災地の子どもたちも
少なくなかったことだろう。
そして世界各地のピッチやスタジアムで
捧げられた黙祷に、一日本人として深く感謝したい。

44歳で現役を、それもサッカー選手としての現役を
続けるカズにはただ、ただ驚くばかりだが
どんな名選手にも衰えがくるのはスポーツ界の宿命。
いつかは舞台から退くときがやってくる。
引退・自由契約・馘首、様々な名目で
”そのとき”は確実に訪れる。

此度の角界のように引退勧告なんてのもある。
しっかし、協会の下した判断はとてつもなく非道いものだ。
餌食になったのは平幕以下のモンゴル力士が中心。
贔屓にしている徳瀬川が含まれているから言うのじゃないが
あれじゃまるでトカゲの尻っ尾切りもいいところ。
中国の窃盗団や韓国のスリグループが
世の中を騒がせた時期があったけれど、
今度はモンゴルの八百長シンジケートを捏造して
罪をおっかぶせやがった。
彼らに八百長を教え込んだのがほかにいるわけで
モンゴル力士が自発的に画策することなんかできはしない。
三役以上にほとんどブラックのダークグレーが
ごろごろいるっていうのにお手盛りで
臭いものにフタをしやがった。
この件はまた日を改めて糾弾したい。

角界・球界・サッカー界を問わず、
あらゆるスポーツ選手に最後の日がくるように
料理人の世界にもそれはくる。
つい最近、目の当たりにしてため息をもらしてしまった。
ところは浅草・駒形の「鮨 松波」である。
8年前に上梓した「J.C.オカザワの浅草を食べる」から
少々、抜粋してみたい。

 駒形で開業して三十有余年。
 さすがに扱うサカナは見事、シゴトもすばらしい。
 ただし、それはそのまま勘定に跳ね返り、
 浅草では「新高勢(現・高勢)」と並ぶ高級店だから
 予算は一人2万円。
 噛むとミシッミシッときた平目、
 親方がすすめるだけあって絶品の氷見のさば、
 肉質が緻密でちっともしつっこさのない大間の大とろ、
 以上が本日のベストスリーだ。

月日は流れ、すでに創業40年を超えた。
ところが今回久しぶりに訪れて
もらしたのは嘆息ばかりなのである。

=つづく=