2011年4月21日木曜日

第36話 斎藤佑樹 デビューを飾る

春の訪れとともに国内では様々なスポーツが開幕する。
筆頭格はプロ野球、球春なる言葉がそれを如実に物語る。
ふと思うのは、日本という国はおかしなな国で
国技の相撲よりも野球の人気が高いのはこれいかに?

もう一つ不思議でならないのは視聴率をとれないからと
テレビ局が野球中継を敬遠して久しいのに
球場に詰め掛けるファンの数はけして落ち込んでいないこと。
サッカー人気が高まったといっても
いまだに観客動員数では野球の後塵を拝している。
客をドーッと呼べるのは国際Aマッチくらいのものだ。

当然、人気は選手の年俸にも反映され、
野球はずうっと右肩上がりで来ているのに
選手寿命が短く(実働年数が少なく)、
運動量も激しいサッカーは不遇をかこっている。
何とかしてやりたい、いや、してやらねばならない。

ついでに言うがスポーツネタの少ない時期は
TVのスポーツニュースも苦肉の策から
春のキャンプをこぞって話題にするし、
オープン戦のTV中継だってある。
開幕して本番を迎えても放映が限定されるのに
オープン戦を映すのもおかしなハナシであろう。

とまれ、すったもんだの挙句、今年もプロ野球が開幕した。
スポーツ紙の一面を遼クンと二分した佑チャンこと、
斎藤佑樹も公式戦初登板。
予想以上の好投を見せて見事に勝星をあげた。
ネット裏の毀誉褒貶がかまびすしい佑チャンだったが
それなりの成果に見合う評価を得たものと思われる。

J.C.も彼を見直した一人、
これならプロでやっていけると確信することができた。
田中のマー君みたいな本格派にはない、
あるいはそれほど必要とされない、
知的投球術の冴えがそこかしこに垣間見えたからだ。
ゴロを打たせることのできる投手は大崩れが少ない。
楽天の岩隈がグッド・エグザンプルだろう。
ゴロは絶対にホームランにならないし、
(ランニングホームランがあるだろ、なんてバカは言わないで)
一塁線・三塁線を破られない限り、短打どまりだ。
内野手と内野手の真ん中を抜かれたらそれまでとフッ切るべきで
そんな打球はそう何発も続くものではない。
併殺に打ち取れるぶん、三振よりもゴロがほしい場面は多い。
うん、ヤツは使えるぜ!

ジャイアンツの桑田のような投手を目指せ、
という意見が散見されるが、はたしてどうかなァ。
挙げるとすれば、目指すべくはライオンズの東尾だろう。
斎藤の球筋は右打者の外角低めにすべらせたり、
落としたりするのが生命線。
ただし、それだけじゃ的を絞られてつかまる。
東尾の如くに打者の内角をえぐるシュート系の球を習得したい。
故意にぶつけちゃならないが、ぶつけることを怖がることはない。
なあに、ぶつけられて殴りかかってくる命知らずがいようと
君には何千、何万という強い味方がついているんだ、
安心してぶつけろ!

次の登板はまた日曜日の24日。
かつてはオリオンズの村田が”サンデー兆治”の異名をとった。
週イチじゃもの足りないものの、しばらくは”サンデー佑樹”として
われわれファンを楽しませてもらいたい。
相撲協会に抗議の意を表すため、
大相撲に決別した無聊を多少なりとも慰めてほしいのだ。