2011年4月19日火曜日

第34話 今や稀少な外国人

みちのくの震災以来、とりわけ原発事故の発生以来、
東京の街から外国人の姿が消えた。
これは何も東京に限ったことではあるまい。
日本全国津々浦々に共通する現象といって差し支えない。

この時期の外国人旅行者数は前年比50%ダウンとのこと。
はて、そんなものだろうか?
実際はもっと減っているのではないか。
うち多数を占める中国・台湾・韓国からの旅行者は
遠目、あるいはちょっと見、日本人と区別がつかないから
実感が伴わないけれど、欧米人が激減している。

銀座や浅草を歩く折、
紅毛碧眼のフォリナーがいないのはさみしい。
心なしか街が沈んでいるようにも見える。
人恋しいんじゃなくて、外人恋しいみたいな気持ち、
何だか英語をしゃべりたくなるような・・・そんな心持ち。
お~い、外人や~い! 早く帰ってこ!
つい先日も銀座通りは松坂屋の前で叫んだ。
いえ、口には出さず心の内で。

桜花を愛でるにラストチャンスの日曜日。
旧友の誘いに乗り、この春唯一度の花見を決行した。
場所は依然たびたび出没した新宿御苑である。
ここへ来るのは何年ぶりだろうか。
ところが当日の昼近くになって
御苑ではセキュリティ・チェックを口実に
持物検査が実施されているという情報が入る。
御苑は原則、飲食物の持込み禁止なのだ。
酒なくして何の花見よ!
即刻、会場を代々木公園に変更する。

ところが、そこは人の波、また波。
中高年の姿はほとんどなく、若者の群れ、また群れであった。
御苑と異なり、代々木には芝生が少ない。
彼らが乾いたベアグラウンドの上を
ご丁寧に足を引きずって歩くものだから
舞い上がる土ぼこりがすさまじい。
酒もつまみもドロドロのジャリジャリである。

それでも1つだけよきことがあった。
参集した仲間の中に紅毛碧眼がザッと数えて6~7人、
それもすべてうら若き美女、
う~ん、ちょっと無理があるな、うら若き乙女である。
みなさん日本語学校の講師であった。

なにぶん大人数につき、花見用のシマを2つに分け、
こちらのシマにはカナダ・アメリカ・アイルランドの姫君が3人。
いや、語り合いましたね、車座になって。
話題は彼女たちそれぞれのふるさとのこと、
もちろん地震の恐怖と原発への懸念、
破廉恥アホ菅の残り少ない行く末や
日本の施政・外交のつたなさなど、
多方面に渡って久しぶりに英会話を楽しんだ。

地震の揺れは怖くとも、彼らが東京にとどまるに
余計な疑念を持っていないことがうれしかった。
国政にあきれつつも
国民には慈しみの気持ちを抱いてるのに
救われる思いであった。