2012年11月5日月曜日

第440話 しょせん学食は学食

かつては早稲田と並ぶミョウガの名産地、
その名も茗荷谷に拓殖大学 文京キャンパスがある。
近隣にはお茶の水女子大や跡見学園など、
お嬢さまの名門も少なくない。
以前をいえば筑波大の前身、教育大もこの地にあった。
御茶ノ水ほどではないにせよ、
茗荷谷はちょいとした学生街なのだ。

 ♪   君とよくこの店に 来たものさ
   わけもなくお茶を飲み 話したよ
   学生でにぎやかな この店の
   片隅で聴いていた ボブ・ディラン ♪   
           (作詞:山上路夫)

てなこって今日の舞台は拓大の学食。
ひょんなことから銀座のステーキ屋「スエヒロ」が
学食の運営を任されていると知り、
”お手並み拝食”というつもりで出掛けた。
予想通りに人気メニューはサーロインステーキだ。
ライス・サラダ・味噌汁の付く定食が600円という価格設定。
まあ、安いっちゃあ、安いわな。

ランチタイムを大きくズレ込んで食堂内の人影はまばら。
最近は東大以外の学食は未訪だから
ヨソと較べるバロメーターが極端に不足している。
人気のサーロインステーキ定食の食券を買い、
厨房のオバちゃんに手渡した。
トレイにナイフ&フォークと
お冷やのコップを置いて料理が整うのを待つ。
ビールはないからネ。

5分ほどでステーキが焼き上がった。
牛肉自体のサイズと焼き色、ともに悪くない。
ガルニ(付合わせ)はトウモロコシバターとフライドポテトだ。
真っ黄色のコーンを眺めながら、小さなため息をついた。
ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」とは違うタイプのため息を。
実はJ.C.、コーンとグリーンピースと
キャロットで構成されるミックスヴェジタブルが大嫌いなんだ。

十数年も前になるが、ある女友だちと飲んでいて
手造りカレーが話題になったことがあった。
彼女のレシピを聞き、ひっくり返りそうになったネ。
自慢の一品は挽き肉と冷凍ミックスヴェジのカレーだとヨ。
そん中に牛乳も入れるんだとヨ。
ケーシー高峰じゃないが、それはないぜセニョリータ!
しばらくして所帯を持ったハズだが旦那があまりにも哀れだ。

そんなことよりステーキ、ステーキ、熱いヤツにナイフを入れる。
多少の肉汁がじんわりとにじみ出た。
1切れ口に放り込んで一噛み二噛みする。
あ~あ、結局は薬局、この程度なら
何も「スエヒロ」に委託しなくてもいいんじゃないの。
サラダはキャベツの千切りだし、味噌汁の具はモヤシだぜ。
トドメはライスの不味さで、いったい何年前の米だヨ!
しょせん学食は学食、末広がりどころか
先細りの食堂でありました、チャン、チャン。

「拓殖大学 文京キャンパス 食堂」
 東京都文京区小日向3-4-14 B館B1
 03-3947-7111