2012年11月6日火曜日

第441話 メニューの値段に目が釘づけ (その1)

メニューを眺めるのが好きである。
料理の品目だけでなく、
値段が明記されていたらもっと好きである。
それは高級レストランでも大衆居酒屋でも変わらない。

サブタイトルの「メニューの値段に目が釘づけ」は
何も値段の高さに目ん玉が飛び出たワケではない。
実はコレ、映画の中でのハナシなのだ。
映画、殊に古い映画を観ていて
飲食店の立て看板や店内の品書きが映ったりすると、
もうストーリーなんかそっちのけ。
食べものとその値段に神経が集中してしまう。
これも一種の職業病であろうか・・・。

そこで最近観た4本の映画を振り返ってみたい。
むろん、作品の解説ではなく、料理や酒とその値段についてだ。

★1本目・・・「レベッカ」(1940年 A・ヒッチコック)

ヒッチの渡米後初の記念すべき作品で
アカデミー最優秀作品賞を獲得している。
映画の冒頭、モンテカルロはプリンセスホテルのダイニング。
主人公とヒロインが開いた昼食メニュー

一部しか映らなかったけれど、内容を解説してみよう。
デジュネというのは昼食のことで、フリュイはフルーツ、
ウッフが玉子料理、ポワソンは魚料理だ。

果物はまずグレープフルーツの半割りが8F(フラン)。
洋梨とりんごが12Fでバナナは4F。
こう見るとバナナの安価が際立つが
ひるがえって当時の日本ではかなり高価だったろう。

玉子料理はハムオムレツ9F、玉子のゼリー寄せ4F、
ゆで玉子のクルトン添えとソーセージエッグが各9F。
目玉焼きトマトソースの値段は判らない。

最後に魚料理は舌平目が8Fで
カエルのソテーはその倍以上の18F。
サーモン網焼きのメートルD風は残念ながら価格不明。
戦前の為替相場は見当もつかないが
梨やりんごが舌平目より高価とは!
それにしてもフランス人は
70年も前からカエルを食べていたんだねェ。

L・オリヴィエとJ・フォンテーンが演じた幻想的ミステリーが
オスカーに値するか否かは著しく疑問の作品ではあった。

★2本目・・・「喜劇 駅前団地」(1961年 久松静児)

傑作「駅前旅館」に続く”駅前シリーズ”第2弾。
小田急線・百合ヶ丘周辺を舞台にしているものの、
タイトルとは裏腹、団地に焦点を当てているワケではない。
故人の批判は不本意ながら
当時売り出し中の坂本九の演技が
あまりにもクサくて思わず”下を向いて”しまった。

ここまで書いて、もうお時間きました。
またあしたお会いしましょう。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。

=つづく=