2013年1月7日月曜日

第485話 博多の一日

旧臘、九州・博多へ。
空港から直行した「カフェ・ブラジレイロ」に入店したのは
昼の12時半を過ぎていた。
ここは博多最古のカフェだそうで
名物のミンチカツレツ(880円)が食べたかったのだ。
何ともユニークな形状
オムレツライスA(780円)もお願いした。
オムライスのようなオムレツライス
Aはライスが少なめでBだと多めになる。

丁寧に作られた付合わせに好感が持てたが
ミンチカツはつなぎが多くてイマイチ。
デミグラスの洋菓子的な風味には懐かしさを覚えた。
オムレツライスはピラフがヤワい。
見た目と味はシンクロしないものなのだねェ。
しかし、そこはさすがに老舗カフェだ、
デミタスコーヒーの香りがすばらしい。
「ブラジレイロ」は食事よりも喫茶で利用するべし。

甘いものは得意じゃないのに
噂に聞いた大濱饅頭は食べてみたいと思った。
店屋町から歩くこと10分、下呉服町にやって来た。
この佇まいにシビレてしまう
何でも鎌倉時代に宋の国から渡来した、
甘酒饅頭の製法をいまだに守っているそうだ。
店先でパクつくわけにもいかず、
裏道を歩きながら人目をしのんで味わってみる。
何とまぁ、素朴な饅頭だこと
アンコはほんのチョッピリ。
1個100円だから仕方がないけどネ。
エッ? 味はどうだ! ってか?
ここはJ.C.、黙して語らず。

所用を済ませ、日が暮れるまで博多の街を徘徊しまくる。
櫛田神社もそのそばの「かろのうろん」も
柳橋の魚市場も実に久しぶり。
当夜、歓待してくれたのはこの地のホテルマン・M島サン。
希望をかなえてくれ、二人落ち着いたのは「鮨 安吉」だ。
浅田次郎の「天切り松 闇がたり」でおなじみ、
目細の安吉親分を連想させる屋号がいい。
浅じろサンの作品では何たってこのシリーズが一番好き。
って言うかァ、ほかはあんまり読んでないんだ。

ハートランドの生でグラスを合わせ、つまみのスタート。
 小やりいか印籠詰め、彼岸ふぐ昆布〆、かつおヅケw/和がらし
 わら燻し〆さばw/和がらし、さば寿司
山形の東北泉に切り替え、さらに
 あぶり穴子、穴子肝煮煮かき、あん肝ペーストw/奈良漬、
 からすみ西京漬け
 (赤字は特筆)

それからにぎりに移行する。
 やりいか・さわら・小肌・、燻しかつお・赤身ヅケ・あぶり金目・
 車海老・煮穴子・煮はまぐり・玉子・かんぴょう巻き

水準は相当に高い。
ただし、つまみはいずれも少量でほとんどが1切れずつ。
このチマチマさが気になってどうにもノリが悪い。
品数は半分でいいから2切れずつ並べてほしい。
食の太いM島サンも存外の様子、
安吉親分のあと、ラーメン店に拉致された。
博多名物の屋台に流れたかったが夜になって雨模様。
不完全燃焼に終わった博多の一日でありました。

「カフェ・ブラジレイロ」
 福岡県福岡市博多区店屋町1-20
 092-271-0021

「大濱饅頭」
 福岡県福岡市博多区下呉服町7-212 
 092-291-3773

「鮨 安吉」
 福岡県福岡市博多区博多駅前4-3-11 
 092-437-8111