2013年1月25日金曜日

第499話 ここは横須賀(その2)

久方ぶりに横須賀に来た。
目当ての酒場の開店までは数時間あり、
まずは身の置きどころを物色せねばならない。
スケジュールが詰まっているわけではないから
のんびりと横須賀中央駅の周辺をぶらつく。

駅にほど近い路地をゆくと、
コンビニの店先でスタッフが総出で
道路にこびりついたチュウイングガムをはがしている。
年を経るごとに売上急降下のガムなのに
ここは横須賀、第7艦隊の海兵たちが吐き捨てているのかもしれない。

その路地に「中央酒場」があった。
朝の10時から夜の11時まで通し営業する酒飲みのパラダイスで
時間を持て余しているときにこういう店はありがたい。
さっそくカウンターの客となる。
キリンの生中を2杯飲んだ。
キリン発祥の地・横浜同様に
横須賀もまたキリンが幅を利かせているのだろうか。

つまみに穴子鍋(700円)をとった。
どぜうの代わりに穴子を使った柳川風鍋である。
このご時世、うなぎで代用することはできないだろう。
穴子でもじゅうぶんに楽しめた。
燗酒がほしくなったが、まだ宵の口にもならないので自重する。

横須賀は坂の多い街だ。
「横須賀ストーリー」の一番にも

 ♪ 急な坂道 駆けのぼったら
   今も海が 見えるでしょうか
   ここは横須賀        ♪

と歌われている。

駅から港とは反対側の坂をのぼっていった。
平坂というらしい。
おっとここは進次郎クンの地盤だったな

昭和の面影を残す商店街には雰囲気の濃い食べもの屋が並ぶ。
昭和どころか大正拾五年創業のそば屋

品書きの寿司の部分が塗りつぶされていた


坂の上には池之端なる商店街があった

時間をつぶして狙いの「銀次」に向かった。
店構えもさることながら店内の空間がすばらしい。
写真撮影を遠慮したが、収めておけばよかった。
後悔先に立たず。

ここの生ビールはアサヒ。
うん、やっぱり自分にはアサヒが合うな。
つまみはしこ酢(450円)だ。
これが何だかピンとくる読者は食事情に相当長けた方。
しこいわし(かたくちいわし)の酢〆のことで滅法旨い。
素材が新鮮なうえに〆加減がすこぶるよろしい。

=つづく=

「中央酒場」
 神奈川県横須賀市若松町2-7
 :046-825-9513