2013年1月16日水曜日

第492話 ちょいと出ましたオジャマ虫 (その1)

先のクリスマスのちょっと前。
30年来のつき合いとなる友人・フタちゃんより、
思いもかけぬ誘いがあった。
何でも仲間うち、というより、
若い部下たちと内輪のプチ忘年会を催すので
よろしかったらどうぞ、というものだ。

フタちゃんは某優良金融機関の専務取締役である。
こういったおエライさんは通常、部下たちに
煙たがられはしても、あまり慕われはしないもの。
ふむ、フム、なるほど、ナルホド、
誰とでも分け隔てなくつき合うウラオモテのない性格だから
交際範囲はおのずと拡がるし、ファンも増え続けるのでしょうネ。

たまたまその夜は忘年会の谷間だったし、
顔ぶれ的にめったにない好機ととらえ、
あつかましくも参上仕ることと相成った。
まったくもってオジャマ虫もいいところである。
ただ、中にはJ.C.のブログに立ち寄ってくれる方もいて
そんな状況に後押しされたわけなのだ。

会場は日本橋小舟町の「和牛銘菜 然」。
スタートは19時半。
やや遅めの開宴をこれ幸いと
独り神田のガード下で飲み始めた。
御徒町に本拠を構える立ち飲み酒場「味の笛」、
その神田支店である。

「味の笛」は鮮魚のデパート「吉池」の直営店で
工場直送のアサヒスーパードライが1杯250円で飲める。
プラコップは生中と生小の中間くらいだが実にありがたい。
つまみを取る必要に迫られず、軽く1~2杯飲める場所が
日本にはきわめて少ない。
ニューヨークのバー、ロンドンのパブ、パリのカフェ、
ローマのバール、バルセロナのバル、いや、もうやめよう、
東京の劣等性があからさまになるばかりじゃないか!

加えて事前の調査によると、「和牛銘菜 然」の生ビールは
同じアサヒはアサヒでも熟撰で、J.C.にはちと重すぎる
したがって「味の笛」の立ち寄りは二重の意味でありがたかった。
サッポロ黒ラベルやキリン一番搾りを置いてるところなら
ちゅうちょせずに直行する。
それがエビスやモルツ(プレミアムも含む)しかない店の場合は
必ず1軒、ヨソに寄ってから赴くことにしている。

カップを2杯空け、まだ時間があるので
三越前の書店に入ろうとしたその瞬間、携帯電話が鳴った。
いや、常にマナーモードに設定しているから
正確には携帯電話が震えたのだった。

=つづく=

「味の笛 神田店」
 東京都千代田区鍛冶町2-13-26
 03-5294-0141