2013年4月2日火曜日

第546話 自由に歩けぬ自由が丘 (その3)

歩道がほとんどないため、
歩行者が不自由な思いをする自由が丘。
駅そばの佳店「金田」で一杯飲ったあと、
自由通りをまっすぐに北上していった。
このまま行けば、駒沢公園を経て
田園都市線の駒沢大学駅にたっする。

公園の手前、自由通りに面して中華料理店「わさ」がある。
なんでも店主は岐阜市の有名店「開化亭」の出身で
目黒区・八雲に開業して4年になるそうだ。
岐阜の「開化亭」に行ったことはない。
食道楽の友人はとにかくバカうまでバカ高い店だと強調する。
良いのか悪いのか、賛否の判然としない意見ではあるがネ。

当夜はめしとも”SKYAMKO”、久々の定例会。
J.C.にとって「わさ」はおよそ3年ぶりの再訪となる。
前回は今は無き月刊誌「めしとも」のO編集長と
取材に現れたのだった。
そのとき美味しかった海老春巻と麻婆豆腐は
はずせないから幹事の森チャンにきちんと報告しておいた。

通常は都心の銀座・日本橋・六本木あたりで
開催の運びとなる食事会が目黒区に遠征するのは初めてのこと。
というのも、ここは森チャンの自宅から至近距離にあるのだ。
そこは幹事の特権、文句を言うものなどいやしない。

乾杯の生ビールはキリンのハートランド。
下町から山の手にやって来ると、いつもビールに不満が残る。
瓶なら問題はないけれど、
生だとあまりにもジョッキというか、ほとんどの場合はグラスだが
とにもかくにもサイズが小さすぎ。
それでいて料金はしっかり取るから泣く子と地頭にゃ勝てないんだ。
ビール好きのJ.C.、最初の乾杯で早くも完敗の様相を呈している。

五香粉餃子とよだれ鶏で料理がスタートした。
よだれ鶏というのは蒸し鶏の前菜。
他店ならば胡麻だれの伴々鶏(バンバンジー)となるところを
当店は醤油・辣油・白胡麻・香菜でいただく。
べつによだれが出るほどの見映えもないし、
実際にさほど美味しいものでもない。

ところがお次の仔豚のローストはまことにけっこう。
仔豚の特性が活かされ、当夜のベストがコレ。
竹の子とキャベツの豆鼓炒め、くだんの海老春巻、
帆立貝柱の塩味炒め、くだんの麻婆豆腐ときて
締めは玉子と長ねぎのシンプルな炒飯、
そしてデザートが杏仁豆腐だ。

春巻・麻婆は相変わらずのブレない旨さ。
でもねェ、やはりねェ、巷の評価は高すぎやしないか。
紹興酒と赤ワインもいただいたが
これで支払いが一人1万円ではなァ、何だかなァ。

そう、そう、ワインの品揃えがあまりにもみじめ。
同じものをお替わりしてもストックがナシ。
それではこちらをと選んだボトルもありません。
優良店にあるまじき失態というべきで
あっけなく馬脚をあらわすんなら紹興酒に専念して
早いとこワインなんかやめちゃいなさいヨ。

=おしまい=

「チャイニーズレストラン わさ」
 東京都目黒区八雲3-6-22
 080-3027-4937