2013年4月10日水曜日

第552話 ひとり園地で飲む酒は (その2) 動物園こそわが楽園 Vol.6

上野動物園は西園カフェテリアで早めの晩酌を終え、
自分のテーブルをクリーンナップしているとき、
二つ隣りの卓で食事中の若い娘たちが視界に入った。
目線でなめ回した(イヤらしいネどうも)わけではないが
美醜入り混じった顔立ちの四人組である。

そのうちの比較的可愛い娘がソフトクリームを食べている。
なめているんじゃなくて食べている。
何となればプラスチックのフォークですくって口に運んでいるからネ。
やれやれ、近頃の娘はフォークでソフトかい?
こんなん育てた親の顔が見たいヨ。

あれれっ、よくよく見りゃ一緒に鳥の唐揚げを突ついてんじゃんか。
そうか、フォークはソフトのためならず、チキンのためであったのネ?
それなら納得、なっとく、、結構、けっこう・・・。
ン? ンン? エッエエ~!
おい、おい、ちょいと待てや! 唐揚げとソフトと一緒食いかい?
嬢ちゃん、嬢ちゃん、オメエ、いったいどういう味覚してんのヨ?

こういう連中をずっと観察してると、アタマがヘンになるので早々に退散。
クロサイの元へと移動である。
こちらは♂のほう

おやまあ、人の佳さそうな、もとい、性格の佳さそうな顔をして―。
サイやサイ、オメエのほうがさっきのギャルよりよっぽどマトモだヨ。
よっぽど人間くさい面貌をしておるヨ。
写真でお判りだろうが、上唇が発達しており、
木の葉を引き寄せて食べるのに役立っている、

こんなやさしい動物をたかが角(つの)のために密猟する極悪人は
とっつかまえて縛り首に処するがよろし。
角が漢方薬の原料になるのだが
実際に薬効などまったくないから生まれざるべき悲劇というほかはない。
アフリカのタンザニアやジンバブエに生息するクロサイは
ジャワサイ、スマトラサイと並んで絶滅危惧種に指定されている。
サイの仲間はほかにシロサイとインドサイの計5種しかいない。

ひとり飲みのあと、クロサイくんの顔も拝んだことだし、
上野・御徒町あたりでもう一杯とまいろうかの。
鵜の池づたいに出口専用の弁天門に向かった。
道すがら、より自然に近い環境で飼育されている、
タンチョウやコウノトリなど大型の鳥類を観るのも楽しみだ。

人なつっこいシジュウガラガンもあたりに何羽か放し飼いにされている。
来園者をまったく怖れていない

小鳥のシジュウガラに羽毛の色合いが似ているところから
名付けられたようだが、何だか奇妙なネーミングだなァ。
一般的にカナダガンと呼ばれているのがこれで
ニューヨーク近郊のゴルフ場では草を食む姿をよく見掛けたものだ。
鳥類とは思えないデッカい糞には往生したっけ・・・。

おや、おや、一羽のガンが近づいて来たかと思ったら
いきなり膝を噛みつかれたヨ。
痛テテテ!(ハハ、痛くはないけどネ)
おい、おい、ガンよガン、
そこはグリーングラスじゃないんだヨ、ブルージーンなんだヨ。

とっても可愛いヤツラで、
J.C.にとっては園内の気に入りスポットになっている。
ここだけのハナシ、たまさか飼育係の目を盗み、
サンドイッチ作成後に残った食パンの耳を与えたりもしているのだ。
動物園のスタッフのみなさん、しょっちゅうじゃないから許してたもれ。

=おしまい=