2013年4月18日木曜日

第558話 七面鳥を慕ってる (その3)

強風の毎日が続きますなァ。
風が流行ってます。
風・・・いやネ。

それはそれとして古着屋と阿波おどりで知られる街・高円寺。
曹洞宗の名刹・高円寺の門前で
一羽の七面鳥に遭遇したのは去年の五月のことだった。
べつに門前の七面鳥、
習わぬ経を読んじゃおりやせんでしたがネ。

白状すればこの七面鳥、
レトロスペクティブな町の中華屋さんなのだ。
誰の発案か、おそらく笑顔を絶やさぬご亭主であろうが
食べもの屋の店名が何と「七面鳥」でっせ。
どうにもこうにも衝撃的じゃございやせんか。
もっともそのおかげでJ.C.の目にとまったわけでありんす。

地下鉄丸の内線・新高円寺の、やはり町の中華屋で一食したあと、
テクテク歩いてこの”中華ターキー”にやって来た。
当夜の相方はフードライターのH.S子チャン。
酒はあまり飲めない彼女だが胃袋はヘビー級、
そこに期待を寄せてご同行願った次第だ。

古びたというより、古び果てたという外観。
でもネ、目にしたときにゃ、胸は弾んで心はときめいた。
たびたび言及しているから読者には耳タコだろうが
こういうのには本当に弱いわが懐旧の情よ。

店内もいいカンジ、いいカンジ。
この空間で酒食の歓びにひたれるシアワセよ!
ビール・缶酎ハイの類いは冷蔵ケースから客が自分で取り出す。
王冠を抜くのもセルフサービス。
好きなんだなァ、こういうの。

グラスを重ねて飲み始めたら
見るからにシャイで人の佳さそうなオバちゃんが
出汁巻き玉子と菊花&レタスのサラダを運んでくれた。
支払い時に判明したがアテの小鉢はすべて無料。
好きなんだヨ、こういうの。

2本目のビールを抜くと
今度はお新香(きゅうり&たくあん)を出してくれた。
これらの小鉢だけで大瓶3本は飲めちゃうネ、自慢じゃないけどヨ。

2軒目だというのにオムライスと酢豚定食を注文しちまう。
酢豚定食は当夜のサービス品である。
普段は単品で780円のところ、定食仕立てで同値ときた。
好感持てるなァ、こういうの。

オムライスはめったに食べないのでS子嬢にオッツケる。
奮闘努力の末、大半を平らげてくれた相方曰く、
かなりの水準に達しているんだと―。
J.C.が惚れこんだのは酢豚である。
そんじょそこいらの中国料理店など足元にも及ばない旨さだ。

そしてその瞬間だった。
中華「七面鳥」に対する好感が突如として恋慕に昇華したのは!
Oh, Yes !  I love this shop !

=つづく=