2013年4月16日火曜日

第556話 七面鳥を慕ってる (その1)

なんだ!  なんだ?
だしぬけに七面鳥とはこれいかに?
いや、ごもっとも、いぶかしがられても仕方ありませんな。
いえネ、ふと思って今日の主役に七面鳥をお迎えした次第なんざんす。

ちぇっ、また動物園ネタかヨ! ってか?
いえ、いえ、上野にペリカンはいても七面鳥はいやしません。
ちなみにニワトリやチャボなど、家禽類を見掛けることもありません。
まあ、先をお読みくだされ。

J.C.と七面鳥の関わりはさかのぼること42年、
ホテルでバイトしていた学生時代が最初だった。
今じゃトンと見掛けぬが当時の結婚披露宴でひんぱんに登場したのが、
ダンドノー・ロティ、いわゆるロースト・ターキーだ。
ホテルの披露宴ともなれば、仏・中・和の三通りが一般的。
七面鳥がお出ましになるのは仏料理の上等なコースで
これが並のコースになると
プーレ・ロティ、いわゆるロースト・チキンが取って替わる。

1970年代のホテルにおける仏料理の披露宴コースはこんな具合であった。

 新郎新婦ウエディングケーキ入刀後シャンパーニュで乾杯
         ↓
 ビール・水割り・ソフトドリンクなどのサービス
         ↓
 冷たいオードヴル盛合わせ
 上等だとたらば蟹脚肉か小海老のカクテル
         ↓
 コンソメ・ロワイヤル(コニャック風味の100%ビーフコンソメ)
 このとき一緒にパン(バゲットとバターロール)
         ↓
 ロブスター・テルミドール(伊勢海老のオーヴンチーズ焼き)
 上等なコースだと伊勢海老の冷製・マヨネーズ添え
         ↓
 和牛フィレ肉のポワレ・温野菜添え
         ↓
 氷菓(シャンパーニュのソルベ)
         ↓
 若鶏のロースト
 上等だと七面鳥のロースト
         ↓
 季節の野菜サラダ・フレンチドレッシング
         ↓
 フルーツ(マスクメロン)
         ↓
 グラッス・ド・モン・フジ(富士山のアイスクリーム)
         ↓
 デミタス・コーヒー
 上等だとコニャックとコアントローの食後酒も

以上の料理をウエイターがスプーン&フォークを駆使して持ち回る。
富士山をかたどったアイスクリームなどは
ナイフとスプーンで切り分けながら持ち回るから
かなりの技量を要求されるのだ。
でも一番厄介なのが何を隠そう、七面鳥だったんですネ。

=つづく=