2013年8月29日木曜日

第653話 羊の串にかぶりつく (その2)

神田の明神下ならぬガード下にいる。
中国東北地方の料理を供する「味坊」である。
中国ではシルクロードに続く西域地方で羊肉はもっとも重要な食材。
ところが東北地方でも盛んに食べられている。
いや、首都・北京でも人気が高いのだ。

有名なのは涮羊肉(シュワンヤンロウ)と呼ばれるしゃぶしゃぶ。
都内には多くの専門店ができつつあり、
ジンギスカンとは一味違う美味しさを求める日本人が増えている。
羊肉しゃぶしゃぶ専門ではないが
神田錦町の「龍水楼」がさきがけ的存在だろう。

「味坊」の看板メニュー、羊肉串にはスパイスの中でも
もっとも個性的な香りを持つクミンがふんだんに使われる。
あとは岩塩・チリパウダー・白胡麻だ。
ここへ来たら忘れてはならじの必食科目である。

羊の肉にかぶりついたあと、
注文したのはこれまた羊モノのラム入り焼き餃子。
豚と羊の合挽き肉を餃子の餡にしている。
じゅうぶんに水準をクリアしているが
もっと羊肉に主張させてもよいのではないか、といった印象。

餃子を頼んだ時点では、あと2~3品追加することで
意見の一致を見ていたにもかかわらず、
お互いそれはちょいと無謀ではないかと思い始めた。
賢明である。
流れに乗って、その勢いで行け行けドンドンは
この歳になったら厳に慎まなければいけない。

となれば、締めは麺類で、という運びになった。
炒麺か湯麺か、それが問題だ、と言いたいところなれど、
この夜の場合、まったく問題にならんのですわ。
何となれば、このBuddy from Michinoku、
そばでもうどんでも熱いつゆがないと食わんのですわ。
したがってハナからJ.C.に選択権はありまっしぇん。

Buddyが指差したのは塩ラーメン。
おう、味噌ラーメン(あったかな?)じゃなくってよかったぜ。
でもネ、塩ラーメンってヤツは外すとひどい目にあうんだヨ。
外す場合はほとんど化学の力に頼りすぎ。
あればっかりはもうどうにもならない。

ここまで食べてきた料理はそれぞれによかったから
よもやNGやOBはなかろうが
かといって大船に乗ってるわけにもいかない。
佳品の到着を祈るばかりだ。

ワインのボトルが空いた頃に登場した塩ラーメン。
おもむろにスープを一口すすって早くも指パッチン!
今度は麺を一箸たぐってパッチンをもう一丁!
こいつはスゲェや、スープも麺も大好きなタイプで
叉焼・支那竹・青菜のバランスもよく、
これは羊肉串を食っちまったかも?
相方Buddyもにっかりと笑っている。

再訪したらもちろん羊肉をいただくが塩ラーメンも必食だネ、こりゃ。
いや、次回は醤油ラーメンを試さにゃなるまい。
思いは乱れるなァ。
接客や雰囲気に多少の難はあろうとも
「味坊」は本当にいいお店です。

「味坊」
 東京都千代田区鍛冶町2-11-20
 03-5296-3386