2015年12月4日金曜日

第1244話 永遠の原節子 (その2)

日本の若い世代には理解しにくいと思われるが
原節子は日本映画史上最大の”女星”である。
彼女を追悼して山田洋次かく語りき。

原節子さんが亡くなったなどという知らせを聞きたくありません。
原さんは美しいままに永遠に生きている人です。
半分は神様と思って手を合わせます。

大したもんだよ、蛙のナントカ。
見上げたもんだよ、屋根屋のナントカ。
さすがに山田監督、
これ以上ない名コメントを捧げたものである。
おそれいりました。

今現在、生存及び活躍している女優で
日本のナンバーワンは誰だろう。
人気と実績を加味して選べば、
吉永小百合であることに異論はあるまい。

でもねェ、彼女が主演した映画の興行成績は
思ったほどよくないんですわ。
それがネックでおそらく、
小百合が節子を超える日はこないんじゃないかと考える。

ここで恒例の原節子マイ・ベスト・ファイヴ。
ただし、戦前公開された作品は半数も観ていないから
ベスト・ファイヴなどとはいい難く、
ザ・モースト・フェイヴァリット・ファイヴとでもしておこうか。

① 東京暮色・・・(小津安二郎)
② 晩春・・・(小津安二郎)
③ 安城家の舞踏会・・・( 吉村公三郎)
④ 東京物語・・・(小津安二郎)
⑤ めし・・・(成瀬巳喜男 )
 次点:忠臣蔵 花の巻・雪の巻・・・(稲垣浩)

一般的には「東京物語」が小津の、
そして原のベストと評されるのかもしれない。
その評価に反論するつもりなど毛頭なく、
ただ、ただ「東京暮色」が好きなのだ。

小津の作品としては終始、
陰鬱な空気が立ち込めて酷評する人もいるくらい。
でもネ、笠戸衆はもとより、
有馬稲子・山田五十鈴・中村伸郎・高橋貞二・藤原釜足、
脇で支える役者がいずれも達者で非の打ちどころがない。
加えて駅・雀荘・支那そば屋、揃いも揃って舞台がまことにけっこう。

むしろ脇役陣に主役の原節子が食われた感もあるけれど、
スティル・マイ・モースト・フェイヴァリット。
年に一度はこの映画を観て永遠の女神を偲びたい。