2015年12月15日火曜日

第1251話 鯛や鰻の舞踊り (その7)

「竹葉亭」の大トリはまぐろでありました。
もちろん刺身に舌鼓を打ったわけではございませぬ。
いただいたのはコレ。
まぐろ茶漬けは1500円+
実はこの「竹葉亭」、
うなぎはもちろんのことながら
鯛茶漬けが人気メニューの一翼を担っている。
だからこそ余った鯛かぶとが存在感を発揮できて
鯛や鰻の舞踊りと相成るわけだ。

ただし鯛茶漬けはそんなに珍しいものではない。
あちらこちらで味わうことができる。
これが鮪茶漬けとなると、提供する店舗は激減、
よって希少価値はきわめて高いものとなる。
しかも「竹葉亭」のまぐ茶は天下一品、たい茶を凌駕しているくらい。
鯛に鰻に鮪とサカナ三昧、ゼイタク三昧の銀座であった。

そうそう、書きそびれたが「銀座ブルース」は
さまざまな歌手がカバーしていてプロのあいだではかなりの人気曲。
中でもベストは松尾和子とフランク永井のデュオだ。
何たってフランク永井は「西銀座駅前」、
「有楽町であいましょう」、「東京午前三時」を続けざまにヒットさせ、
この手のナンバーを歌わせたら他の追随を許さぬ第一人者。
松尾の甘えるようなかすれ声にフランクの低温の魅力がかぶさって
これ以上ない出来映えとなっている。

変わったところでは往年の名歌手・西田佐知子がワンダフル。
本職の俳優業は鳴かず飛ばずで精彩を欠きながら
なぜかTVのキャスターで息を吹き返した関口宏。
年配の方はご存じだろうが西田佐知子は彼の奥さんである。

歌唱力・声質ともに優れ、清純にしてセクシー、
なんとも不思議なシンガーだった。
そんな彼女は結婚と同時に事実上、
芸能界から足を洗ってしまった。
いまだに悔やまれるのはこのことである。

もっともこういうケースはままあるもので
後年の山口百恵、森昌子(のち復帰)が典型例。
西田が先鞭をつけたカタチとなったけれど、
できることならダンナたちのほうに引退してほしかった。
 
その西田佐知子の「銀座ブルース」は清潔感あふれる歌唱。
「お子ちゃまの渋谷やヤッチャンの新宿なんかと
 銀座を比べちゃこまるのことヨ」ー
耳元でそうささやいているかのようだ。
 
とは言ってもマイ・フェイヴァリット、
「赤坂の夜は更けて」があまりにすばらしく、
銀座より赤坂がよく似合う女性でありました。

=おしまい=

「竹葉亭銀座店」
 東京都中央区銀座5-8-3
 03-3571-0677