2015年12月2日水曜日

第1242話 秋のスポーツ 花ざかり(その6)

21世紀の日本が生んだ不世出のテニスプレイヤー・錦織圭。
昨年のUSオープンが彼のピークだったなんて
絶対に思いたかないネ。
四大大会のウインブルドンで組合わせに恵まれ、
ベスト8まで進んだ松岡修造と比べてもまったくモノが違う。

彼の飛躍が努力と鍛錬の賜物だったこともけっこう。
多くの子どもたちが勇気をもらい、
明日の錦織を目指してテニスに打ち込んでゆくだろう。

それにしてもセルビアのジョコヴィッチは強い。
強すぎる。
おそらくく史上最強のテニスプレイヤーだ。
今年もまた全仏(ローラン・ギャロス)のタイトルを逃したけれど、
来シーズンは四大タイトル総なめの偉業を遂げるのではないか。

おしまいはフィギュアスケートNHK杯の羽生結弦。
いや、驚きましたねェ。
あの身体のキレはいったい何なんだ。
採点を待つまでもなく、
観ていた者はみな史上最高得点を確信したハズ。
優しい顔してトンデモないことをやらかしてけつかる。
本人も含め、しばらくは更新不可能な記録が生まれた。

歓ばしいのは世界のスケート界で初めて和楽が認められたこと。
もともと占いやジンクスなどは気にとめないタチにつき、
「陰陽師」の世界には縁もゆかりもないが
楽曲とスケーティングのシンクロナイジングはよく判った。

男子の羽生に対し、女子の浅田真央はさんざんの不出来。
使用した曲はSPが「素敵なあなた(Bei Mir Bistu Shein )」、
フリーはオペラ「蝶々夫人」の中のアリア「ある晴れた日に」である。
ともに好きな曲ながらとりわけ「素敵なあなた」に思い入れがある。

すでにジャズのスタンダードとなっており、
1930年代nお米国で
アンドリュー・シスターズの三姉妹が歌ってヒットした。
のちにエラ・フィッツジラルドやグレン・ミラーがカバーし、
本邦では雪村いづみと桃井かおりも取り上げている。

松竹映画「蒲田行進曲」のセカンドバージョンに
「上海バンスキング」があるが
ここではクラリネットのソロで挿入されている。
J.C.はヴォーカルも好きだけれど、
このインストルメンタルを第一とする。

とまれ、NHK杯のユヅル君には
完全に魅了されてしまった。
2015年のオールスポーツMVPは間違いなく彼であろう。

=おしまい=